2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

団塊世代に人気がなかったザ・フー・4

けっきょく僕にとってザ・フーを考えることは、この社会における若者という存在とは、と問うことです。 若者は、この社会における「異人」です この社会は、みずからの内部に差別(=排除)の対象としての「異人」を置くことによって機能している。 ちび、で…

団塊世代に人気がなかったザ・フー・3

「マイ・ジェネレーション」は、「ザ・フー」の代表曲です。シンプルな歌詞だが、社会に出てゆくまえの社会と和解できない若者の普遍的な気分がじつに的確に表現されており、もしかしたらこれでもうすべてが言い尽くされているのではないかとさえ思える。 話…

団塊世代に人気がなかったザ・フー・2

ビートルズデビューの3年後の1965年、ザ・フーをブリティッシュロックの表舞台に引き上げ、彼らの生涯最大のヒット曲にもなった3枚目のシングル「マイ・ジェネレイション」は、もちろんアメリカでも発売されたが、ヒットチャートの隅に登場することす…

団塊世代に人気がなかったザ・フー

ひとりでもいい、ザ・フーのファンの方、読んでください。誰も書かなかった「ザ・フー論」を展開して見せるつもりです。できるかどうかはわからないけど、とにかくそういう意気込みで、10回以上は続けたいと思っています。 ・・・・・・・・・・・・・・・…

閑話休題・弥生時代の戦争について

団塊世代とロック・ミュージックとの関係の話はもう少し続けたいのですが、古代史のことでひとつ、どうしようもなく気になっていることがあるので、今日はそのことを書きます。少し長くなるけど、明日は「ザ・フー」のことを書きたいから、一気にいきます。 …

団塊世代とビートルズ・8

ビートルズ解散後にジョン・レノンが発表した「ラブ」は、シンプルな歌詞とメロディが胸にしみるとても美しいバラードです。歌詞もメロディも饒舌なポール・マッカートニーの「イエスタデイ」と比べると、同じビートルズでも感受性や才能の質はずいぶん違う…

団塊世代とビートルズ・7

ビートルズのデビュー曲「ラブ・ミー・ドゥ」は、ポール・マッカートニーのアイドル志向の自意識が見え隠れする、いかにも舌ざわりのいいポップチューンです。とくにその歌詞は、一見他愛なく空々しいだけのようでもあるが、 「ねえ、愛しておくれ/こんなに…

団塊世代とビートルズ・6

アメリカにおいて、ロックミュージックのムーブメントが社会現象といわれるかたちで最初に起きたのは、プレスリーの登場だった。 そのときアメリカの大人たちはビートルズ上陸のとき以上にうろたえ眉をしかめたものだったが、この場合は世代間の対立というよ…

団塊世代とビートルズ・5

団塊世代は、なぜ自分たちの醜さに気づかないのか、わかりますか。それは、団塊世代を批判する人たちが自分たちのほうがましだと思っているのと同じ精神構造だからです。 団塊世代を批判する人たちも、けっきょくは社会正義みたいなものを振りかざしてくる。…

団塊世代とビートルズ・4

ビートルズなんてくだらない、といったら誰も読んでくれなくなってしまう、と思うのですが、つまり、ビートルズにいかれていたあのころの自分たちなんてくだらない、といいたいわけで、どうか堪忍してください。 ビートルズ上陸直前のアメリカのガールスヒッ…

団塊世代とビートルズ・3

ジョン・レノンは、「戦争のない世界を想像してごらん(イマジン・より)」という。これが、ミスター・ビートルズのメッセージです。こんなわかりやすくて嘘っぽいヒューマニズムもない。 僕は、人が戦争や人殺しをすること否定しないで、なぜそんなことをし…

団塊世代とビートルズ・2

戦後の日本は、徹底的にアメリカに追いかけていった。そうして60年代前半にはひとまず戦後の混乱と窮乏は収束し、高度経済成長の入り口にさしかかっていた。 戦後の日本復興のエネルギーになった現実主義的な経済活動のダイナミズムとうそっぽいヒューマニ…

団塊世代とビートルズ

あと2週間くらいしたら、「団塊世代が犯したエラー」という本を出します。小さな出版社だから、アマゾンかセブンイレブンの検索でしか見てもらえる機会はないと思うけど、もし興味がある人がいたら、当たってみてください。 ・・・・・・・・・・・・・・・…

団塊世代が犯したエラー・8

ダンテの「神曲」の地獄篇に、次のような一節があります。 「永劫の呵責に遭わんとするものは、この門をくぐれ。 ・・・・・・ この門を過ぎんとするものは、いっさいの望みを捨てよ。」 打ちひしがれた戦後日本の人々は、この地獄門をくぐることを回避した。 われ…

団塊世代が犯したエラー・7

「狂い咲き」という言葉があります。 川上宗薫というかつての官能小説の大家は、死の直前に、「五十年ぶりに夢精をした、青春がよみがえった」と喜んでいるエッセイを書いています。 人間の心や体は、死と生の境目というか、ある極限状況まで行くと、まるで…

団塊世代が犯したエラー6

「青女」と書いて、「せいじょ」とも「あおおんな」とも読みます。一般的には、文字通り思春期の若い娘を指すのだが、もともとは中国の神の名だったらしい。 ちょっと、あやしい感じのする言葉ですよね。女なんてわけのわからない人種だけれど、その中でもさ…

団塊世代が犯したエラー5

戦争直後に生まれた団塊世代が、つねに新しいもの、より豊かなものを享受して生きてきたということは、そのつど「滅んでゆくもの」を目にして生きてきた、ということでもあります。 日本列島改造論は、そのときすでに始まっていたのです。 もちろん、山を切…

団塊世代が犯したエラー・4

この世界が気味悪く理不尽なものとして自分の前にたちあらわれること、現代の17歳はそういう体験をしているが、団塊世代にはない。だから、生首少年や17歳の統合失調症の恐怖や不安を、ただの病気=異常だと片付けてしまう。 この世界が気味悪く理不尽な…

団塊世代が犯したエラー・3

「三丁目の夕日」という愚劣な映画のことを持ち出すのもなにやら腹立たしいのだけれど、とにかく団塊世代の親たちは、史上もっともしみじみと心暖まる家庭を築いた人たちだったのです。 戦争によって青春と家族を奪われた男と女たちが、待ちわびて待ちわびて…

人類の定住と共同作業の関係

人類の歴史は「共同作業」とともにあり、そのレベルが、サルとの大きな違いのひとつだろうと思えます。 肉食もするチンパンジーは、捕まえた小動物の肉をほかの仲間にも分配することもあるが、それはみずからの意思というよりも、しょうがなくとか、ぶん取ら…

弥生時代の大陸との関係・2

ある研究者によれば、弥生時代の北九州には朝鮮半島から渡ってきた人たちの集落がいくつもあり、彼らの主導によって筑紫平野の稲作が定着してゆき、そののちに列島中に広まっていったのだとか。 もしそうであるなら、この地方の稲作に関する用語に、たくさん…

弥生時代の大陸との関係

縄文時代や弥生時代に、ほんとに、そんなかんたんに大陸と行き来していたのか。 していたはずがない。ないとはいわないが、縄文時代など漂着した人々だけだろうし、弥生時代にやってきた大陸人だって、日本列島の歴史を変えるほどの影響はほとんど及ぼしてい…

閑話休題・団塊世代が犯したエラー・Ⅱ

戦争が終われば、時代は変わる。 とくに太平洋戦争後のこの国のように、あれほど無残な負け方をすれば、もう、元に戻るというようなかたちの変わり方はできなかった。もしかしたら、明治維新よりももっとラディカルな変わり方をしたのかもしれない。 明治維…

縄文時代の大陸との関係

たとえ丸木舟しか持っていない原始時代であっても、対岸が見えていれば、そこに渡ってゆくこともあったでしょう。 最初は偶然漂着しただけだろうが、やがて、どうしてもこんなところにいたくないという一心で渡ってゆくことが起きてきて、最終的にはあたりま…

生首少年と人類の定住

なんでも「脳」の問題にしてしまう。 脳の問題にしてしまえば、社会や家族の責任がぜんぶちゃらになる。人間の心のはたらきを社会や家族との関係でとらえようとするととてもやっかいで収拾がつかなくなるから、ぜんぶ生理的な「脳」の問題にしてしまう。それ…

縄文人の定住化Ⅱ

「人類史のなかの定住革命」(講談社学術文庫)という本をなくしてしまいました。また買いなおして著者の印税収入に奉仕するのも悔しいので、この本についてのレポートは、これで終わりにします。 どなたか、僕の代りに買ってやってください。 とりあえず、…

縄文人の定住化

「人類史のなかの定住革命」の著者は、なんだかうきうきして「戦略」という言葉を乱発しています。知能が発達した人類の戦略が、人類の歴史をつくってきたのだ・・・・・・ほとんどが、だいたいこういう調子の語り口です。そしてこういう語り口は、一見歴史を止揚…

定住は革命か

「人類史のなかの定住革命」(講談社学術文庫)の感想に戻ります。 百歩譲って定住することが革命的なことであったとしても、しかし著者がいう意味とはちょっと違うのではないかと思えます。人類は、定住の意志や能力を持ったから定住していったのではない。…

僕は、生首少年を忘れない 4

しつこいですよね、これで終わりにします。 精神疾患があろうとなかろうと、彼には彼の思想があり、誇りがあったのだ。そしてそれによって、人を殺すことを実行に移していったのでしょう。そういう思想や、みずから逃げ道を断ってしまうほどに思いつめた少年…

僕は、生首少年を忘れない 3

心の中に荒野を抱いている人でなければ、人生の真実に気づくことはできない・・・・・・そういうことはあるのだろうし、もしかしたら誰の中にもそうやって寒い風が吹きすぎていっている場所はあるのかもしれない。 立派な人や幸せを獲得した人だけにそれを語る資格…