2017-01-01から1年間の記事一覧

誰が戦争をはじめたのか・神道と天皇(123)

1 見上げる青い空が目に染みるとき、人の心は遠い異次元の世界に旅立っている。その「異次元性」こそ、「かわいい」の文化の基本的なコンセプトなのだ。 「かわいい」の文化は、この社会の制度性としての競争原理や闘争原理から解き放たれてあるところから…

センチメンタリズムは間違っているか・神道と天皇(122)

1 生きることは「喪失感」を抱きすくめてゆくことだ。それをここでは「魂の純潔に対する遠い憧れ」といっている。それこそがじつは人としてのこの生を活性化させるのであり、それができなければ人と人がときめき合う社会など実現しないし、人と人がおたがい…

喪失感を抱きすくめる・天皇と神道(121)

1 大人と子供の中心に「若者」がいて、そこで「かわいい」の文化が生成している。若者は、社会の運営を先導しているのでも庇護されているのでもない浮遊した寄る辺ない存在であり、そこから「かわいい」の文化が生まれてきた。彼らの精神世界は「かわいい」…

世界は輝いているか・神道と天皇(120)

1 「クレーマー」とか「ネトウヨ」なんて精神を病んでいる人たちのことだとみんなが思っているのに、そういう人たちが増殖し続けているということは、じつはみんながそういう傾向の心の動きを持っている社会の構造になってしまっているということを意味する…

ガングロ・ファッションという革命・神道と天皇(119)

1 大げさだといわれそうだが、まあ初音ミクの登場は直立二足歩行の開始以来の人類史の帰結であり、日本列島の歴史の帰結であり、さらにいえば戦後70年の歴史の帰結であり、もっと短く区切れば、高度経済成長の歴史の反動としてそうした「かわいい」の文化…

マリアの処女懐胎は非科学的か・神道と天皇(118)

1 とにかく、「かわいい」の文化のひとつの必然的な帰結として「初音ミク」というバーチャル・アイドルが登場してきた。 人の心は普遍的に、「この生」とか「日常」というようなこの世界の「存在」に執着しとどまっていようとするのではなく、「非日常=非…

アマゾンの蝶の羽ばたきは・神道と天皇(117)

1 現在の文明社会はもう、絶望的な段階にさしかかっているのかもしれない。 世の中の支配者や資本家はみずからの肥大化した欲望の追求になんの後ろめたさもなく、民衆だってたえず欲望を刺激してくる社会の構造に囲い込まれ、もはやその政治的支配や経済的…

きれいさっぱりとなくなってしまう・神道と天皇(116)

1 もともと人の心は「非存在」を問うようにできている。だから「ゼロ」という概念を発見したのだろうし、とくにこの国では、いつの時代も「無」ということが問われ続けてきた。 命のはたらきにせよ、心のはたらきにせよ、その本質・自然は「非存在」に対す…

猿はまだ空の広がりに気づいていない・神道と天皇(115)

1 人の心の自然には、「非存在」に対する親和性がはたらいている。「初音ミク」というバーチャル・アイドルは、そうした人間性におけるひとつの究極の表現にほかならない。またそれは、この国の伝統の精神風土である「あはれ・はかなし」の美意識・世界観・…

「今ここ」に生きてあることの形見・神道と天皇(114)

1 儀礼・儀式は宗教ではない。 「おはよう」というあいさつを宗教儀礼だとは誰もいわないだろう。原始人の「埋葬」という儀礼・儀式は、宗教ではない。その契機は、親しいものの死が耐え難かったからであり、なおも死者と一緒に暮らしかっただけだ。 原始的…

儀式・儀礼の起源・神道と天皇(113)

1 キリスト教やイスラム教の「神」が唯一無二の「存在」だとしたら、神道の「かみ」は「非存在」のたんなる「お話=物語」であり「言葉=概念」にすぎない。 もともとそれは世界中の誰にとってもたんなる「言葉=概念」にすぎないのだけれど、「存在」であ…

女神のかなしみ・神道と天皇(112)

1 初音ミクのようにバーチャルな声と姿の対象を生身の人間のようなアイドルとして祀り上げてゆくことは、じつはそれほどありえないことでもない。マンガやアニメそのものがすでにバーチャルな世界であり、ファンたちは、バーチャルであることを承知でときめ…

初音ミクの日本人論・神道と天皇(111)

1 初音ミクは偉大だ。彼女は、存在と非存在のあわいに立ちながら、日本列島1万年の伝統のみならず、人類700万年の歴史をも背負って登場してきた。 人がもし猿よりも深く豊かにときめき感動することができる存在であるのなら、心の奥に「魂の純潔に対す…

ときめく心があればいいだけのこと・神道と天皇(110)

1 もっとも複雑な精神の持ち主は、もっとも単純な心の動きをあこがれ夢見ている。おそらく、そうやって「哲学」という学問が生まれてきたのだろう。もちろん僕は哲学者ではないが、人間なら誰だって心の中にそうした哲学的アプローチを持っているのではない…

べつに生きていたいわけでもないが・神道と天皇(109)

1 神道の「かみ」とは「魂の純潔」のことだ。 ぐだぐだと行きつ戻りつして書いてきたが、やっとここまでたどり着いた、と思う。 荒ぶる神にも「魂の純潔」はある。 人類普遍の「魂の純潔に対する遠い憧れ」が「かみ」という概念を生み出した。 ここでいう「…

700万年の伝統回帰・神道と天皇(108)

1 現在の若者たちによる「ロリータキャラ賛歌」には、この国の伝統としての「魂の純潔に対する遠い憧れ」がはたらいている。 なるほど秋元康はなんだかうさんくさいようなイメージもなくはないが、それでもAKBの少女たちはかわいいということはたしかにある…

恥知らずな日本人とは誰か・神道と天皇(107)

1 今回の衆議院選挙の際に民進党から希望の党に移った候補者たちのことを、マスコミの評論家も芸能タレントも口をそろえて「節操がない」というような批判をしていたが、そんなことをいうもんじゃない、と僕は思う。 彼らだって、他人にはうかがい知れない…

おバカなギャルを侮るな・神道と天皇(106)

1 今どきの「かわいい」の文化における「ロリータキャラ賛歌」を、どう考えればいいのだろう。 それは、「魂の純潔に対する遠い憧れ」の問題ではないのか。つまり、その問題に対して大人たちよりも若者のほうがずっと切実だということを意味しているのでは…

われわれは政治オタクなんかじゃない・神道と天皇(105)

1 現在のこの国が右傾化しているとか、ことに若者はそうだとかとよくいわれているが、そんなことはありえない。 この国のマジョリティはいつだって右でも左でもなく、無党派層という、いわば政治そのものに興味がない人たちであり、だからいつだって権力者…

閑話休題・学術研究の耐えがたい軽さと愚かさ

1 最近のヤフーのニュース記事で、ネアンデルタール人に関する次のようなものを見つけた。 (引用) スタンフォード大学のオレン・コロドニー氏と同僚研究者のマーカス・フェルドマン氏は10月31日に学術雑誌『Nature Communications』で論文を発表し、自分…

醜悪な思想・神道と天皇(104)

1 今回の選挙の結果はひとまず民意が示されたのだというが、投票率50パーセントで何が民意か。投票に行かなかった50パーセントの人の心は民意ではないとでもいうのか。その人たちをむりやり投票に行かせたら、まるで違う結果になるかもしれない。無党派…

鬱陶しい・神道と天皇(103)

1 現在のこの国は、欧米諸国と違って、必ずしも右傾化しているとはいえない。そうなるような歴史の伝統にはなっていない。 なるほど明治維新から太平洋戦争の敗戦までの約百年は国ごと国家神道の右翼思想に染められてしまったが、戦後になってたちまちそれ…

右傾化なんかしていない・神道と天皇(102)

1 若者の右傾化……今回の選挙でも若者の4割は自民党に投票したといわれている。しかしだからといって、それでそのまま「若者は右傾化している」といってしまえるのだろうか。そんなことをいってもその数字は若者の6割は反自民に投票した、ということもあら…

愛らしい民主主義・神道と天皇(101)

1 たしかに現在のこの国では嫌中・嫌韓の気分は広がっているが、全体の政治意識が右傾化しているともいえない。 もともと日本列島の民衆に主体的な政治意識などないも同然であり、何かのはずみでかんたんに変わってしまったりする。敗戦の次の日からあっけ…

「イノセンス=魂の純潔」の時代・神道と天皇(100)

1 選挙結果が出た。ひとまずその総括をしておかないといけない。 自民圧勝、立憲民主躍進……まあ、マスコミの想定内におさまった。 台風が来なかったら、もう少し違った結果になったのだろうか。 いずれにせよ、選挙戦後半から選挙当日まで、お祭り気分が盛…

夢見る能力・神道と天皇(99)

1 小池百合子だろうと安倍晋三だろうと大学教授のインテリだろうと、右翼なんて、どこかから拾ってきた知識をもてあそび振り回して正義・正論ぶっているだけなのだ。その正義・正論しか吐けないところに彼らの限界がある。 正義・正論は、つねにどこかから…

ゆるキャラの魂・神道と天皇(98)

1 10月14日の新宿駅前における立憲民主党の街頭演説会の人だかりはほんとうにすごかった。あの狭いスペースに7〜8千人は集まっていたともいわれている。保守政党のようなあらかじめ動員をかける組織の力を持っていないし、しかもべつに前々から準備を…

魂の純潔・神道と天皇(97)

1 選挙序盤における各党の議席獲得数の予想が出た。それによると、希望の党が新しく奪うであろうと予測された議席数がけっきょくもとの自民党のところに戻った、というだけの結果になっている。 ただこれは、投票率によって変動があるからその通りに行くか…

僕は右翼に幻滅している・神道と天皇(96)

1 現在のこの国における「右傾化」の風潮なんか、たんなるバブルにすぎない。 とくにこの国の民衆の政治意識は希薄だから、かんたんに右傾化したり左傾化していったりもする。 右翼の政治オタク、とでもいうのだろうか、ネトウヨと呼ばれる人たちは、右翼以…

魂の演説・神道と天皇(95)

1 選挙がはじまった。 今どきの右翼が正義・正論を振りかざすことが、何ほどのことか。安倍晋三や小池百合子なんか、どんなきれいごとをいっても、ただの自意識過剰のレイシストにすぎない。 なんとかファースト、などという自己撞着的な物言いがどうして説…