2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

不幸を受け入れる・ネアンデルタール人論213

1 正義ぶった生命賛歌なんか、やめてくれよ、と思う。いまどきは、そういう思考停止に居直った市民正義が充満している。 うんざりなんだよ。あなたたちの思考なんてそのていどか、と思ってしまう。 もっと深く考えよというのではない。なぜもっと無邪気に素…

生きるなんてむなしいことだ・ネアンデルタール人論212

1 ろくな文明を持たない原始人であるネアンデルタール人が命を削るようにして氷河期の北ヨーロッパという苛酷な地に住み着いてゆくなんて、なんと無謀でむなしい行為であることか。ストリンガーをはじめとするアホな集団的置換説の研究者たちにいいたい。あ…

命のはたらき・ネアンデルタール人論211

1 「進化論」を考えることは、「命のはたらき」について考えることだ。 生きものの進化は「皮膚感覚」とともに起こってきた。 つまり生きものの「身体感覚」は、身体の「輪郭=外縁」としての「皮膚」に宿っているのであって、身体の中身としての「肉体」に…

皮膚感覚の問題・ネアンデルタール人論210

1 人間中心主義でいうのではないが、直立二足歩行の開始以来、人類の脳のはたらきは驚異的に進化発展してきた。それはまあ、そうに違いない。では、猿にはないそうした人の心の動きのダイナミズムはどこにあるのかといえば、生き延びることすなわち自我の安…

別れのかなしみと遠いあこがれ・ネアンデルタール人論・209

1 人類史において最初に「埋葬」という葬送儀礼をはじめたのは、おそらくネアンデルタール人だった。 ネアンデルタール人の洞窟からは、たくさんの彼らの遺骨が出土する。それは、彼らが死者を洞窟の土の下に埋めていたことを意味するのであって、ストリン…

悩むなんてくだらない・ネアンデルタール人論208

僕は自分の中の自意識にいつも四苦八苦していて、けっしてイノセントな人間ではないが、他者のイノセントに対するときめきなら持っている。無防備で他愛ない他者のイノセントに付け込んで支配しようとしたりたぶらかそうとしたりするような趣味はない。 イノ…

イノセント・ネアンデルタール人論207

1 「イノセント(純粋無垢)」という言葉は、ネアンデルタール人のためにあるようなものだ、という気がする。 人類は、地球の隅々まで拡散してゆくという艱難辛苦の旅の果てに、とうとうその心模様にたどり着いた。 「イノセント」すなわち「他愛ないときめ…

世界は輝いているか・ネアンデルタール人論206

1 生涯学習として学問をしようと思い立ち、まずパソコンの使い方を覚えるところからはじめようとする中高年の人たちがいる。パソコンの使い方に習熟すれば学問ができると思っているらしい。 そんなものじゃない。 そのためには基礎的な教養はもちろんのこと…

「快適な暮らし」など望まない・ネアンデルタール人論205

1 万物の霊長などといっても、人はもともと心も体も脆弱な存在であり、直立二足歩行の起源以来、どれほど知能や文化を進化発展させてきたにせよ、その本質は今なお変わっていない。原始人だろうと現代人だろうと、人間なんてつまりはそういう「生きられない…

倫理や道徳なんか知らない・ネアンデルタール人論204

1 都市論はまだまだ書きたいことがあるのだけれど、いつまでたってもまとまりがつかないし、きりがないからもう終わりにする。 そのうち、あらためて考え直してみたい。 とはいえ、ネアンデルタール人論とはつまるところ都市論かもしれない、とも思う。 人…

都市の起源(その五十二)・ネアンデルタール人論203

その五十二・なりゆきまかせ……都市論のまとめ 1 人類史において、「村」が発展して「都市」になったのではない。 村はいつまでたっても村であり、都市は、最初から都市的な性格を持って発生してきた。 たとえば、日本史で最初の都市集落を弥生時代の奈良盆…