2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

たましいと霊魂の違い・初音ミクの日本文化論(13)

1 今どきは「初音ミクに救われた」といっている若者がたくさんいるのですよ。 やはりこの年ごろはいろいろ迷ったり身もだえしたりしてしまうわけで、そんなときにカルト宗教やスピリチュアルにはまるより初音ミクで遊んでいる方がずっと健康でしょう。 初音…

なりすましの美学・初音ミクの日本文化論(12)

鄯 初音ミクの文化が育ってくる歴史で「メルト・ショック」といわれていることがあるらしく、その『メルト』という曲の大ヒットが、それまでは一般的なアイドルポップとは距離を置いてオタク的に偏りがちだった初音ミクのオリジナル曲のかたちが大きく広がっ…

神は死んだ、というヨーロッパの不幸・初音ミクの日本文化論(11)

1 とにかく日本列島の「かわいい」の文化によって発信されているのは、人は他愛なくときめく体験をする生きものであるということで、この生やこの社会のよりどころしてそういう体験は必要であるのかどうかと問いかけている。 そして「かわいい」の文化は、…

原初の記憶・初音ミクの日本文化論(10)

1 「かわいい」の文化は、「世界の終わり」から生まれてくる。 日本人は、「美しい」というよりも「きれい」というような言い方をすることの方が多い。「きれいに掃除をする」とか、よけいなものがきれいさっぱりとなくなることにカタルシスを覚える。「み…

桜の木の下で・初音ミクの日本文化論(9)

1 初音ミクの声はやはり、日本語がいちばん合っているのでしょうか。 日本語は一音一音の発声が平板でまぎれが少ないから、初音ミクのような舌足らずの電子音でも聞き取ることができるし、日本語そのものに愛らしさと美しさを感じる外国人もいるらしい。 日…

女神のかなしみ・初音ミクの日本文化論(8)

1 この国を訪れた外国人からしたら、女子中高生のセーラー服なんか、みんな「セーラームーン」のコスプレ・ファッションに見えてしまったりするかもしれない。けっこう大胆なミニスカートだし。 まあ渋谷・原宿を歩けばコスプレ・ファッションの少女はいく…

腐海は広がっているか・初音ミクの日本文化論(7)

1 ロリータキャラの巨匠といえば宮崎駿だが、ロリータキャラの究極はなんといっても初音ミクだろうと思えます。 それはそれとして、宮崎駿はやっぱり偉大です。 『風の谷のナウシカ』はロリータアニメの記念碑的な作品で、これによって宮崎駿の名声は一気に…

ツインテールの憂鬱・初音ミクの日本文化論(6)

1 バブル経済の崩壊と入れ替わるようにして登場してきた「かわいい」の文化のムーブメントとしてもうひとつ忘れてならないのは、武内直子作の『美少女戦士セーラームーン』でしょうか。 これはもう、「かわいい」系マンガ・アニメのバイブルともいえる名作…

「異形」の恍惚・初音ミクの日本文化論(5)

1 で、バブル崩壊後の街の風俗として最初に登場してきた「かわいい」の文化の発信者は、「ヤマンバ(ガングロ)ギャル」たちだった。まあ「キモカワ」というジャンルになるのだろうが、彼女らこそ、現在の「かわいい」の文化のパイオニアだった。 それはま…

喪失感の行く末・初音ミクの日本文化論(4)

1 人は「世界の終わり」から生きはじめる。この生は、そこから活性化してゆく。 この国の戦後の歴史はまさにそのようにしてはじまったわけだが、そこからめざましい復興を遂げていった。ドイツだって同じで、「世界の終わり」を体験することは、ある意味ア…

世界の終わりを印す・初音ミクの日本文化論(3)

1 たくさんものを知っていることが偉いんじゃない。新しい何かがひらめいたり発見したりすることを「考える」という。それは、心がこの生やこの世界の外に超出してゆく体験です。そういう「飛躍」を体験することによって、人類の知性や感性は進化発展してき…

非存在の女神・初音ミクの日本文化論(2)

1 ここではひとまず、「初音ミク」は究極の「かわいいの文化」として登場してきた、と考えています。 今や初音ミクの立体映像を使ったコンサートは世界中で展開されており、どこでも大きな会場に数万人規模の観客を集めて催されている。で、どういう権利関…

女神の嘘と純潔・初音ミクの日本文化論(1)

1 いや、テーマを変更しようというのではありません。 このへんで「初音ミク」を中心にした「かわいい」の文化についてのおさらいをしておこうと思っただけです。 「かわいい」の文化の主役はやっぱりおバカなギャルたちで、できるだけその視線に寄り添いな…

ややこしいことを考える・神道と天皇(127)

1 幼い女の子がお人形さん遊びをするように、猿だって子供のメスは、しきりに赤ん坊をかまいたがる。つまり、この世の「魂の純潔」の体現者は赤ん坊であり、その「魂の純潔に対する遠い憧れ」をもっと深く切実にそなえているのは「処女=思春期の少女」であ…

世界の終わりを味わい尽くす・神道と天皇(126)

1 日本人は、「非存在」を抱きすくめてゆく。日本人にとっては、生きることも死んでゆくことも、究極においては「消えてゆく」ことの「かなしみ(哀切)」を抱きすくめてゆくことにある。 誰だって、うれしくて泣くときはあるだろう。それだって、本質的に…

日本人はなぜ幽霊を見てしまうのか・神道と天皇(125)

1 近ごろでは、伊勢神宮や靖国神社が「パワースポット」として若者たちの関心を集めているらしい。 まあ「ポケモンGO」だって「パワースポット」を発見するゲームだというし、いったい「パワースポット」とは何だろう。 一般的には、「気」とか「霊力」が発…

時代は流れ、人の心も変わってゆく・神道と天皇(124)

1 僕はべつに左翼ではないが、今どきの右翼というのは、声高で、嘘つきで、目的のためなら手段を選ばないという卑劣極まりないところがあり、まったく「かわいい」ところがない。うんざりだ。いつまでもこんな時代が続くはずがない。 それに対して現在の「…