2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

苦労して生きてきた人は強い、などとよく言われる。氷河期明けのこの1万年の歴史をヨーロッパがリードしてきたのは、彼らが、それ以前の歴史において地球上でもっとも苦労して生きてきた人々の末裔だったからだろう。苦労して生きてきたから、逆境に強く、…

ネアンデルタールは、およそ150人前後の集団で暮らしていた、といわれている。 チンパンジーの群れの上限が100頭くらいだから、同じような猿であったはずの人間としても、これは限度を超えた密集状態であったに違いない。 ここにいたって人類は、集団…

ネアンデルタールが滅んだことにしてしまえば話はかんたんさ。しかし、人間とは何かということを考えたら、それだけで納得できるものではないだろう。人間とは何かというブラックボックスに分け入ってゆく思考力も想像力もない連中が、そういう安直な結論に…

三陸海岸の津波で被災した地域は、さっぱりと何もかもなくなった。 それに対して福島の原発事故から追われた人々は、何もなくなったわけでもないのに、もっと決定的に故郷を失った。 故郷を失うということ。まさに「兎追いし」懐かしい故郷を失った。 原発事…

うまく生きてゆく方法が人間を生かしているのではない。そんなことくらい、誰でも知っている。それでもその通りにできる人間とできない人間がいる。誰もがそんなふうに作為的に自分を動かして生きているわけではないし、べつにそんなニヒルで鈍感な人間がえ…

一般的な人類学の通説では、7万年前からはじまった氷河期において北のヨーロッパにはネアンデルタールと呼ばれる人々が暮らし、南のアフリカにはホモ・サピエンスが住んでいて彼らが4万年前ころにヨーロッパに移住していってネアンデルタールと入れ替わっ…

<承前> 日本列島の伝統として、われわれはもともと「舞い上がる」という習性を持っていない。 それは、氷河期の北ヨーロッパのように極端に寒い土地柄ではなかったからそんなふうにして体を温める必要などなかったし、江戸時代までは異民族との大きな軋轢…

アルタミラの洞窟壁画などの氷河期のクロマニヨンの文化はヨーロッパに移住していったアフリカのホモ・サピエンスによるものだ、と多くの人類学者が語るのだが、だったら、アフリカにもそんな遺跡がなければならないし、ヨーロッパよりも先行していなければ…

30〜20万年前以降のアフリカ中央部のサバンナを生きた純粋ホモ・サピエンスとは、どんな人たちだったのだろうか。 人類が森の暮らしからサバンナに出てきたのは、250〜200万年くらい前のことだろうといわれている。 しかしこの「サバンナに出てき…

最新のゲノム分析などの結果、今や、アフリカ人以外の現代人の遺伝子にはネアンデルタールの痕跡が残っているということは常識になりつつあるらしい。 だから、アフリカのホモ・サピエンスとネアンデルタールは異種交配した、と盛んにいわれている。 10〜…

人間が「危機」を生きようとする生き物であることは、「滅びる」ことにときめいてゆく心の動きを持っている、ということでもある。そういう死を親密なものとする心を持っていなければ危機は生きられない。 そしてこれが、人間の火に対する親密感の根源に息づ…

人類の文明は、火とともに進化してきた。 やっぱり、原初の人類と火との関係は考えておいた方がよさそうだ。 火との関係とともに人類の結束する心や連携プレーが育ってきた。 熾(おき)火、キャンプファイヤー、暖炉、囲炉裏、火による連携の文化は、人類が…

50万年前ころの氷河期の北ヨーロッパに住み着いていったネアンデルタールの祖先たちは、どのようにしてその寒さを克服していったのだろうか。 彼らは、人類で最初にその過酷な環境を体験していった人々である 人類は、もともとアフリカで生まれた南方種で…

「出アフリカ」などという。 20〜15万年前ころにアフリカで生まれたホモ・サピエンスの遺伝子のキャリアの人類集団が、10〜7万年前ころにアフリカを出て人口を増やしながら3、4万年で世界中に拡散した……と人類学者は教えてくれる。 そしてその集団…

人間という猿が、二本の足で立ちあがれば、胸・腹・性器等の急所が相手の前にさらされてしまう。人間は、たがいに弱みを見せ合いながら存在している。正面から向き合うことがいちばん危険なのに、それでも正面から向き合い見つめ合おうとする。そういう流儀…

人類の歴史はどこに行こうとしているのか。このごろよくそんなことが語られる。 現代社会は、制度的にも精神的にも行き詰ってきている。 資本主義も、なんだかあやしくなってきている。 でもそれは、そんなに悪いことではない。 現代社会は、大人たちがつく…