2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「ケアの社会学」を読む・26・観念的な思想

1・「受け入れる」ということ 吉本隆明氏は「昔の人は宗教心に篤く極楽浄土を深く信じ切っていたから死が怖くなかったのだ」といっておられる。 こんな人をなめきったような言い方があるだろうか。ようするに「死が怖くないなんて迷信深いやつの態度だ」と…

「ケアの社会学」を読む・25・死にざま

1・逃げ隠れするということ 「生きられない弱い猿」であるという与件が人類の文明を生み出した。そのとき人類は、「生きられるもの」になろうとしたのではない。「生きられないもの」であるという与件そのものを生きようとした。 だから、地球上の生きにく…

「ケアの社会学を読む」・24・社会集団の連携と結束

1・民衆の無意識の集積が新しい時代をつくる 「新しい社会を構想する」などといいながら、この社会のリーダーたちは、自分たちが新しい社会をつくれるつもりでいる。 しかし、リーダーが構想した通りの社会(=時代)がやってきたためしなどないのである。 …

「ケアの社会学を読む」・23・家父長制は健在か?

1・フェミニズムは社会の正義か 上野千鶴子氏がウーマン・リブというかフェミニズムに目覚めたのは、いばり散らすだけが能のろくでもない父親とそんな父親のいいなりになっているダメな母親に育てられたからであるのだとか。 日本の家族には「家父長制」の…

「ケアの社会学」を読む・22・イノベーションの歴史

何しろ行き当たりばったりで書いているものだから、話が行ったり来たりすることをお許しください。 1・絶滅の危機がイノベーションを生む 原初の人類が猿であることから決別して二本の足で立ち上がったとき、その姿勢は、きわめて不安定であったし、胸・腹…

「ケアの社会学」を読む・21・べつに楽しくなくてもいい

このブログの行く末はどうなるのだろう。 このまま当然のように自滅してゆくか、集中砲火を浴びて炎上するのか。まあ、そんなようなことしか思い浮かばない。 どのようにして競争相手を見つければいいのかよくわからないし、人にもめったに会わずにただパソ…

「ケアの社会学」を読む・20・生きることの不可能性

1・生きられない 人間は、根源において、生きることの不可能性を負って存在している。 人間の集団性や高度な連携の能力は、そういうことの上に成り立っている。それは、生き延びるのに有利な戦略として選択されていることではない。ただもう人間はそうする…

閑話休題・吉本隆明さんが死んじゃった

僕はこのことを、3月16日早朝の、ヤフーの検索サイトで知った。 このニュースはたぶん、吉本さんに影響を受けた団塊世代をはじめとする人々にとっては、3・11の日がまたやってきた、ということと同じくらいかあるいはそれ以上にインパクトのあるニュー…

「ケアの社会学」を読む・19・アシュリー事件

1・そのどうしようもない野暮ったさ 「アシュリー事件」という。 2004年のアメリカで、重度の障害を持って生まれたアシュリーという6歳の子供に成長抑制のための徹底的な手術とホルモン投与が行われ、この医療行為の是非をめぐって大きな論争が巻き起…

「ケアの社会学」を読む19・歴史の問題と社会の構造の問題

1・制度的な思考 ひとまずこのブログの主たるテーマは、人間の歴史について考えることにある。 どんなモチーフを書こうが、つねにこのテーマが頭にある。 上野千鶴子氏が主張しておられることに対して「ブスの田舎っぺだなあ」と反応してしまうのも、このテ…

「ケアの社会学」を読む・18・ブスのがんばりは怖い

1・戦後社会の都市への人口流入現象 僕はここまで、「要求だの権利だのと大騒ぎしたがる田舎っぺのブスのがんばりにはうんざりさせられる」と何度も書いてきた。 僕は、差別的な偏見を語っているのだろうか。 田舎っぺのブスはぜんぶそうだといっているので…

「ケアの社会学』を読む・17・つぶやき

今日は、ツイートします。ツイートにしてはちょいと長めだけど。 最近被災地の仮設住宅を視察した上野千鶴子東大名誉教授のひとこと。 「つらい、つらすぎる」 だってさ。 バカなことをいってんじゃないよ。 この上から目線は、なんなのだ。「かわいそう」と…

「ケアの社会学」を読む・16・フェルメールの絵について

フェルメールの絵の特徴は、「静けさ」と「光」にあるらしい。そこが見る人を感動させる、といわれている。 まあ、そうだろう。しかしそんなことをいまさら僕が書いてもしょうがないし、そもそも書く能力もない。 じゃあなぜ書こうとしているのかといえば、…

「ケアの社会学」を読む・15・この世のもっとも弱いもの

1・上野千鶴子氏のフェミニズムと障害児(者)介護 これは介護の現場の部外者によるたんなる読書感想文であって、著者に対抗して社会学的なアプローチをしているつもりはさらさらないし、そんな能力も僕にはない。 ただ単純に、人間に対する興味で書いてい…

「ケアの社会学」を読む・14・割礼というサディズム

1・サディズムの起源 人間は、介護もすれば、虐待もする。戦争は虐待の最たるものだが、広義に解釈すれば、教育だってひとつの虐待だし、人を支配することも、「未来の社会を構想する」ことにも、ある虐待の衝動(サディズム)がはたらいている。 未来の社…