2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

都市の起源(その五十一)・ネアンデルタール人論202

その五十一・もう死んでもいい 1 僕はずっと、人の心が「ときめく」とはどういうことかと考えている。そのことを基本にして、人類の歴史についてあれこれ思いめぐらしている。 他愛ないものだ。こんなことでは、哲学にも思想にもなりはしない。 きちんと資…

都市の起源(その五十)・ネアンデルタール人論201

その五十・人の心は、この生からはぐれて途方に暮れている 1 ここで考えているネアンデルタール人の問題とは、つまるところ都市論であるのかもしれない、と思えてきた。 ネアンデルタール人の時代に都市があったはずもないが、彼らはすでに都市的なメンタリ…

都市の起源(その四十九)・ネアンデルタール人論200

その四十九・えらそげに干渉してこないでくれ 1 人類史最初の「王」はおそらく、民衆から祀り上げられた受動的な存在だった。勝手に支配者として登場してくるということは、人間性の自然としてありえない。われわれの友人関係だって、自分勝手なエゴイスト…

都市の起源(その四十八)・ネアンデルタール人論199

その四十七・この生は「今ここ」にしかない 1 ネアンデルタール人の社会に「家族」という関係はなかった。生まれた直後の乳児との母子関係があっただけで、それ以後はもう集団のみんなで子供を育てていた。 基本的に、ひとりひとりが孤立して存在している社…

都市の起源(その四十七)・ネアンデルタール人論198

その四十七・それは、「神のしわざ(=支配)」か? 1 ネアンデルタール人の集団がつねに離合集散を繰り返していたということは、彼らには「監視する」という制度的なメンタリティすなわち支配欲が希薄だったことを意味する。 神の本能は人間を監視すること…

都市の起源(その四十六)・ネアンデルタール人論197

その四十六・人生はなりゆきまかせだ、いっぱい後悔して泣けばいい 1 人と人の関係の基礎は、二本の足で立って向き合っていることにある。 くっついて支え合っているのではなく、離れたまま、ともにひとりで立っている。ひとりで立つ姿勢を安定させるために…

都市の起源(その四十五)・ネアンデルタール人論196

その四十五・滅びるということ、別れのかなしみ 1 生きることの意味や価値がどうとかこうとか、多くの大人たちがそんなことを語りたがり、若者たちはそれを探しあぐねて悶々としていたりする。しかしそんなことを問題にすること自体、人は生きようとする衝…

都市の起源(その四十四)・ネアンデルタール人論195

その四十四・生き延びるためにがんばることの、なんと野暮ったいことか 1 生きものは生きようとする衝動を本能として持っている……だなんて、どうしてそんな前提が成り立つのか、よくわからない。 「生きる」という概念を意識しているのは人間だけで、ほかの…

都市の起源(その四十三)・ネアンデルタール人論194

その四十三・好きにならずにいられない 1 人類史の発展の果てに「都市」が生まれてきたのではない。 直立二足歩行を起源とする人類史は、本質的には最初から都市的な性格の集団だったのだ。 都市生活における人と人の関係の作法の基礎は、たがいに「避けが…

都市の起源(その四十二)・ネアンデルタール人論193

その四十二・言霊信仰という嘘 1 日本列島の古代人は、「大和はことだまの咲きはふ国」といった。 「ことだま」というと、多くの古代文学研究者が「言葉の霊魂」というような意味に扱っているのだが、そういう解釈になっていったのはおそらく「御霊信仰」が…

都市の起源(その四十一)・ネアンデルタール人論192

その四十一・都市のエスプリ(機知) 1 ネアンデルタール人以来の伝統を引き継いだヨーロッパの原始的な都市集落は、誰もが「支配されるもの」になりながら「連携」してゆく、という生態の上に成り立っていた。それがヨーロッパ的な都市生活の作法の伝統で…

都市の起源(その四十)・ネアンデルタール人論191

その四十・アフリカ・アラブ・ヨーロッパ 1 人類史における「支配者=王」はいつごろどのようにして生まれてきたのか?それは、人の心の支配欲はどのようにして膨らんでくるのだろう、という現代社会で暮らすわれわれの問題でもある。支配欲を旺盛にしなが…

都市の起源(その三十九)・ネアンデルタール人論190

その三十九・「支配されるもの」になる、という文化 1 人間社会における支配と被支配の関係は、どのようにして生まれてきたのだろうか? これは、大問題だろう。 猿の群れにはボスという支配者がいて、その他のすべての個体どうしのあいだにも順位制という…

都市の起源(その三十八)・ネアンデルタール人論189

その三十八・愚かであるということ、この生は幸せかどうかという損得勘定だけではすまない 1 根源的にはというか人間性の自然においては、人は、「生き延びる」という目的で生きているのではない。この世界の輝きにときめきながら「生きてしまっている」だ…

都市の起源(その三十七)・ネアンデルタール人論188

その三十七・もう生きられない 1 なんかもう、何もかもいやになった……そんな気分で会社を辞めてゆく若者はたくさんいるのだろう。何ごとにおいても、「いやになる」とは「もう生きられない」ということだ。この世の中を生きていれば、「いやになる」という…

都市の起源(その三十六)・ネアンデルタール人論187

その三十六・連携の文化 1 人類の歴史は、「避けがたく支配されてしまう無防備な心」つまり「支配しない心」が成熟してきて「都市」という無際限に膨らんだ集団を生み出した。誰もがそういう心を持っていなければ、そんな鬱陶しい集団の中で暮らすことはで…