2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「あじさはふ」「つぎねふや」など・枕詞の起源

1 「あぢさはふ」「いめたてて」「うちひさす」「しなざかる」「つぎねふや」等々の語義がよく知られていない枕詞について考えてみたい。 それらは現在、こじつけでおかしな解釈がなされている枕詞である。 まず「あじさはふ」。「目」にかかる。 辞典の説…

歌垣と枕詞の起源

1 「きゃりーぱみゅぱみゅ」という言葉に、なんの意味もない。そんなことは、みんな承知している。承知しているが、女の子の名前だといわれれば、ああそうか、と納得する。 なんの意味もないから、その女の子がどんな性格でどんな体型でどんな暮らしをして…

ひさかたの・「天皇の起源」75

1 枕詞をひとつひとつ検証していたらきりがない。なにしろ千以上もあるというのだから。 ともあれここではいま、既成の枕詞に対する認識を根底的なところで問い直したいと思っている。 枕詞は、あとにかかる言葉を修飾しているだけの機能として用いられてき…

あしひきの・「天皇の起源」74

1 もう少し枕詞を具体的に検証してみよう。 「あしひき」は「山」にかかる。 「あし」の「あ」は、「あ」と気づき「ああ」と嘆く感慨。「あ」は、脳において最初に発生する意識である。われわれの意識の運動は、「あ」と「気づく」ところからはじまる。「あ…

あおによし・「天皇の起源」73

1 枕詞について考えてみる。 古代人はなぜ枕詞が好きだったのかということをちゃんと問われているだろうか。 そして枕詞のほんとうの機能は解き明かされているだろうか。 一般的にはあってもなくてもよい飾り言葉のようにいわれたりもするのだが、何かそれ…

水田耕作の文化・「天皇の起源」72

1 まあ、よかれあしかれ、日本列島は水田耕作の文化なのだ。 天皇家も稲つくりの文化との関係は深く、稲に関する儀式がたくさん残っている。 しかしそれは、稲がどこから伝わってきたかとか、天皇家の御先祖がどこからやってきたかというような問題ではない…

姿と禊の文化・「天皇の起源」71

1 日本列島の「姿」の文化は、縄文以来の「みそぎ」を願うメンタリティから生まれてきた。 「みそぎ」とは、身体をからっぽのまっさらなかたちに戻すこと。生き物の生のいとなみは、身体を「非存在」の「空間の輪郭」として扱ってゆくことにある。そのよう…

あなたがあなたであればそれでいい・「天皇の起源」70

1 弥生時代の奈良盆地を大きな都市集落にしていったのは、政治制度が発達していたからでも生産性が高かったからでもなく、おそらく民衆自身の祭りと交易のダイナミズムにあったからだ。 つまり、どこよりも人の動きが活発な場所だった。 その祭りの中心に、…

少女たちの舞姿・「天皇の起源」69

1 日本列島は「姿」の文化である。 中身のない、ただの画像としての「姿」を止揚する、それが伝統的な美意識である。 肉体も心も霊魂も邪魔なものだという美意識。 たとえば言葉、その言葉に込められた意味も心も二次的なもので、まずはその音声の響きとい…

纏向遺跡の夜・「天皇の起源」68

1 弥生時代の奈良盆地において、「祭り」はとても大切なものだった。その大きな都市集落は、支配者の政治によってではなく、祭りにおける人と人の出会いのときめきの上にいとなまれていた。 人と人が他愛なくときめき合い豊かに語り合う場があれば、原始的…

美しい姿の「きみ」・「天皇の起源」67

1 起源としての天皇は、政治的な支配者だったのでも呪術的な存在として君臨していたのでもない。 おそらく起源としての天皇は弥生時代の後期に生まれてきたのだろうが、そのころに王朝政治も呪術も存在しなかったはずである。 天皇が世界のどこにでもいる王…

「みそぎ」の作法・「天皇の起源」66

1 歴史の連続性、ということは誰もが考える。だから一部の歴史家は、縄文時代にも呪術があっただのすでに階級があっただのといったり、そのくせ「弥生時代は渡来人の影響で突然スイッチが切り替わった」だのといったりもする。 弥生時代にやってきた渡来人…

からっぽの身体・「天皇の起源」65

1 古代以前の日本列島の住民は、生命賛歌をしなかった。 生きてあることは「穢れ」がたまることだと思い定め、「穢れ」をそそぐことを生きる作法にしていた。 意識しようとするまいと、けっきょく人間の行為のすべてに、「穢れ」をそそぐという側面がある。…