2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

閑話休題

あれこれつまらないことを書いてしまい、いやになって削除しました。 残ったのは、次の部分だけ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 人は、どうして苦しみに憑依してしまうのだろう。それが、人を生かしもするし、死を選択する契機にもなる。 生きると…

祝福論(やまとことばの語原)・「かわいい」55・アンドロイド

桜は、7分咲きくらいのときがいちばんあでやかである。満開になると、もう野暮ったくて、年増の厚化粧みたいにかえってみすぼらしいところが出てきてしまう。 そういうニュアンスは、おしゃれにも通じている。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ まっ…

祝福論(やまとことばの語原)・「かわいい」54・砂漠の思想2

人間とは「自己意識」である、という。「自己意識」を確かにすることが「生きられる意識」である、という。欧米人はそんなことばかりいっているし、それが現代のこの国の社会的スローガンにもなっているらしい。 すなわち、自分に酔いしれて生きることこそ人…

祝福論(やまとことばの語原)・「かわいい」53・砂漠の思想

ユダヤ教やキリスト教は、荒野(砂漠)から生まれてきた。 荒野に立てば、いやおうなく自分という存在を思い知らされる。しっかりと自分を持っていなければ、その景色の中にいることに耐えられない。そうやって、無際限に自我がふくらんでゆく。 自分が存在…

祝福論(やまとことばの語原)・「かわいい」52・生きられる意識3

もうひとつの例を挙げてみよう。 筋萎縮症という病気があって、筋肉の機能が衰えてしまいにはすっかり体が動かなくなって植物状態になってしまったりするのだが、そうなっても意識だけははっきりしている。 これはつらい。 歳をとってヨイヨイのじじいになっ…

祝福論(やまとことばの語原)・「かわいい」51・生きられる意識2

生きていることの意味、自分が存在することの意味、そんなことに気づくことがわれわれを生かしているのではない。 そういう「意味」に対するストレス(不安)が、身体細胞の「揺らぎ」となってわれわれの体を動かし、われわれを生かしている。 生きてあるこ…

祝福論(やまとことばの語原)・「かわいい」50・生きられる意識

メルロ=ポンティは、「生きられる意識」といった。 彼が解き明かしてくれるそれに対しては必ずしも賛同できないが、けっきょくは「生きられる意識」の問題なのかもしれない。 そこのところで、吉本隆明氏も内田樹先生も、なんだか妙なことをいってやがる、…

祝福論(やまとことばの語原)・「かわいい」49・観念とエロス

「エロス=実存」、僕は、ことばなんか、だいたいのニュアンスで使っている。 げんみつな意味なんかよくわからない。 エロスとは、危機的な実存のこと。 ギリシャ神話の「エロス」とは、もともとは、人間の根源にある「受苦性」の神のことをいったらしい。 …

祝福論(やまとことばの語原)・「かわいい」48・観念的な存在

(承前) 内田樹先生と同様に吉本隆明氏も、「身体の危機=不安」を生きられない人種らしい。 彼らは、不安の中で「気絶=思考停止」する。 そこから生きはじめ考えはじめるということをしない。彼らは、不安を味わいつくすということができない。 不安こそ…

祝福論(やまとことばの語原)・「かわいい」47・不安

「不安」が性衝動を生む。それは、生きものの「雌雄」が、不安すなわち「身体の危機」から発生してきたことを意味する。 生きものは、「身体の危機」を生きている。 生きているということは、次の瞬間には死んでしまうかもしれない、ということでもある。生…

祝福論(やまとことばの語原)・「かわいい」46・性淘汰

心に深い幻滅を持っている人でなければ、この生を味わいつくすことはできない。 この生(自分=身体)に幻滅するから、世界や他者が輝いて見える。 この生(自分=身体)を消してしまわなければ、世界や他者は見えてこない。 この生(自分=身体)、などとい…

閑話休題・吉本隆明氏のこと

昨日、吉本氏がテレビに出ていた。 糸井重里がプロデュースして、吉本氏の講演会というか独演会というか、そんな企画が催された。 久しぶりに見る吉本さんは、すっかりいいおじいさんになっていた。今、83歳らしい。 体がうまく動かなくなり、車椅子で舞台…

祝福論(やまとことばの語原)・「かわいい」45・進化論

ダーウィンによれば、生きものの「進化」は、生き延びるのに有利な強い個体が生き残ってその特質をさらに特化させてきたのだとか。 そうだろうか。 「進化」は、環境の変化によって起きる。 熊は、もともと茶色か黒の毛に覆われた動物だったとすれば、北極の…

祝福論(やまとことばの語原)・「かわいい」44・いのち

祝福することの根源は、この世界や他者の輝きにときめいてゆくことにある。 人間は、みずからの生にうんざりしている。その嘆きから押し出されるようにして、自分の外の世界や他者のいる「今ここ」にときめき憑依してゆく。 人間は、この生を祝福している存…

祝福論(やまとことばの語原)・「かわいい」43・ひつぎ

「かわいい」というときめきは、「消えてゆく」タッチである。 自分のことなど忘れて、すなわち自分が消えて世界や他者にときめいているとき、「かわいい」ということばがこぼれ出る。 「小さきもの」が愛されるのは、それが「消えてゆく」契機になるからだ…

祝福論(やまとことばの語原)・「かわいい」42・消えてゆく

「かわいい」と「美しい」はちょっとちがう。 「かわいい」は、ときめいている心の動きをあらわすことばで、「美しい」は、対象を概念的・分析的に表現している。 だから小林秀雄は「花の美しさというようなものはない、美しい花がある」といわねばならなか…

祝福論(やまとことばの語原)・「かわいい」41

久しぶりに山姥さんからコメントをもらって、ほっとした。どうやら、読んでもらっているらしい。 それに、学ぶことも多かった。 たとえば「川(かは)」は、「K+AHA」と解釈することもできるということ。 原初のことばが一音だけの時代から二音のことば…

祝福論(やまとことばの語原)・「かわいい」40・女と「ジト目」

「ジト目」とは、ジトーッとしている目つきのことなのだとか。 物欲しげで恨みがましい目つきはわかりやすいが、腹の底から幻滅しきっている目つきは、何を考えているのかよくわからない。 どちらも「ジト目」だ。 そして近ごろの少女漫画家は、後者の「ジト…

祝福論(やまとことばの語原)・川(かわ)

あまり安直な議論に対抗してもしょうがないのだけれど、この世界では、研究者もアマチュアも大差ないらしい。 たとえば、ある研究者が「川(かは)」の一音一義の解釈をこんなふうに説明している。 ____________________________________________________ カ…

閑話休題・一音一義

じつを言うと、今回杉山巡さんに言われるまで、「一音一義」という用語を知りませんでした。 知らずに「一音一義」をやっていた、というわけです。 でも僕の場合は、「語義」の向こうに「感慨」がある、という前提があるわけで、語義にとらわれすぎると語原…

祝福論(やまとことばの語源)・「かわいい」39・生き延びる

人間は、直立二足歩行することによって、二本の足で立ったままでいることの居心地の悪さを忘れてゆく。つまりそれは、身体の「物性」を無化し、身体を「空間」として扱ってゆく行為である。 生きてあることの醍醐味は、身体を「空間=ない」と感じることにあ…

祝福論(やまとことばの語源)・「かわいい」38・本能

進化の問題として、「生存の戦略」とか「生き延びようとする本能」というような言い方をされると、むかしから僕は、妙なプレッシャーを感じて、どうしても素直にうなずけなかった。 生きものとは、そんな衝動をつむいで生きている存在なのか。 だったら僕は…