2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧
芸術とは、死に魅入られてゆくことだろうか。 死に魅入られてゆくことが人間の生きるいとなみになっている、ともいえる。 これは、生物学的な命のはたらきの問題でもあるような気がする。すべての生き物はそのように生き、やがて死んでゆくという宿命を負っ…
1 自分が人間であることや生きてあることにむやみに執着したりしない。そんな心(=欲望)などすっかり忘れて無邪気に他者としての動物にときめいてゆく。そこから原始人の「半人半獣」の像が生まれてきた。 ギリシャ神話にもケンタウロスなどの「半人半獣…
1 人類が絵を描くようになった契機は、生きてあることのいたたまれなさを抱えた存在だったことにある。そしてそれは人類拡散や身体・知能の発達ともに深くなってきて、氷河期の北ヨーロッパで極まった。 人類学者は「ネアンデルタール人は氷河期の極寒の環…
1 ヨーロッパ人は、「ビーズ」の玉が好きである。ヨーロッパには、「ビーズ」の文化の伝統がある。これは、氷河期のあの「点線」の壁画の延長である。彼らは、その時点ですでにビーズの文化を持っていたともいえる。 2万8千年前のロシアのスンギール遺跡…
1 現在の人類学では、アフリカで発見された7万年前の石に線刻されたものが絵画の起源だといわれているのだが、ネアンデルタール人はそういうことを30万年前からやっていたのであり、人間はもともとそういうことをせずにいられなくなる存在なのだ。 ただ…
1 ひとまず人類学の常識では、氷河期の北ヨーロッパの壁画芸術は「集団運営のためのモニュメントとして生まれてきた」ということになっているのだとか。 何いってるんだか。俗物根性丸出しのこんな安っぽい解釈を振り回して、何がうれしいのだろう。 ナチス…
1 人類は、「自分」とか「生きよう」という自我意識がフェードアウトしてゆくことの醍醐味を体験しながら、地球の隅々まで拡散していった。フェードアウトしなければ、住みにくい地住みにくい地へと移動してゆくことなんかできるはずがない。 であれば、氷…
1 人間は、心の奥のどこかしらに生きてあることに対する幻滅=嘆きを抱えている。その幻滅=嘆きを共有しながら人間的な関係性が成り立っている。人間の、不安定で危険な二本の足で立つ姿勢は、不可避的にそうした幻滅=嘆きをもたらす。人間であるかぎり、…
1 人類学でいう「ボトルネック現象」とは、ある集団が何かの理由でいったん小さくなってしまって遺伝の多様性を失い、前とは違うひとつの特徴的な形質を持った集団になってゆくことをいう。 たとえば100人の集団が5人になってしまったとしたら、その5…
1 「人間の自然状態は戦争をすることにある」だなんて、それでは猿の順位争いと一緒じゃないか。 僕はべつに、理想主義やセンチな感傷で「原始時代に戦争などなかった」といっているのではない。直立二足歩行の起源のところまでさかのぼって無限に思考実験…
1 人間が「死」を意識する生き物だということは、自我を薄くしてゆこうとする作法を持っているということである。そうしないと、うまく死んでゆくことができない。 その作法は、人間なら誰もが持っている。自我の拡張の文化を持っている国の人々だって、人…
1 戦争ばかりしていたら、人の心は恐怖や不安に占領されて鬱状態になってゆく。そして、鬱状態からの解放として戦争が機能してゆく。現在のアメリカもイスラム社会も、そのような構造になっているのではないだろうか。これは、とてもややこしい問題だ。鬱状…
1 人類が集団どうしで殺し合うという戦争を覚えたのはおそらく氷河期明け以降のことだ。それとともに地域集団を強化拡大してゆこうとする動きが活発になってゆき、やがて共同体(=国家)が生まれてきた。 そのようにして、中近東や東アジアに人類最初の4…
1 人類最初の共同体文明は戦争をして人と人が盛んに殺し合うというダイナミズムから生まれてきたのだが、そこから新しい展開が起きてくるということもなかった。余分な個体をどんどん排除してゆけば集団内の結束は高まってゆくが、知らないものどうしが出会…