2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

民俗社会の心模様・かなしみとときめきの文化人類学10

1 「聖性」なんて、なんだかオカルトっぽくて好きな言葉じゃないけど、民俗学でよく耳にするから、素通りするわけにもゆかない。 心が洗われるような気分にさせてくれる対象、ということなら、なんとなくわからなくもない。それは、「神」などいう概念を取…

穢れと聖性・かなしみとときめきの文化人類学9

1 人類が本格的に家を建てるようになってきたのは、氷河期明け以降のことです。 それは、外部を排除して私有財産を確保してゆくための行為だったのでしょうか。 たぶんそうじゃない。 ひとまずそれまでは、森の中とか洞窟で暮らしていた。 家を持ったことの…

ことばのはじまり・かなしみとときめきの文化人類学8

1 言語の起源について考えてみます。これだって、人間的な「心が華やぐ」体験が契機になっているはずです。つまり原始人は、人が発するさまざまな色合いの音声に「きらきら光る」ものを感じた。それが、言語の起源だろうと思えます。 現在の言語論の通例で…

首飾りの起源・かなしみとときめきの文化人類学7

1 考古学の発掘証拠によれば、勾玉(まがたま)は縄文時代からあったらしい。 だったらそれは、大陸から伝わったものではなく、日本人が勝手にそんなかたちをイメージしていったのだということになります。 そのかたちが大陸にもあったとしても、人間は普遍…

癒される・かなしみとときめきの文化人類学・6

1 ビーズの玉をつなげて首飾りにする。これは「点線」の文化でもある。 ネアンデルタール人は、もともと点線に対する志向を持っていた。 数万年前に人類がはじめて描いた絵は、たんなる模様のようないたずら描きだったわけだが、アフリカのホモ・サピエンス…

涙することの華やぎ・かなしみとときめきの文化人類学5

1 ネアンデルタール=クロマニヨン人の社会には、「私有財産」という制度がなかった。 だから、死者の埋葬に際しては、たぶん彼らがいちばん大事にしていたであろうビーズを、誰もが惜しげもなく捧げていった。 人類の「私有財産」という意識は、氷河期明け…

閑話休題・滅びの季節

1 現在の日本人にとって八月は、太平洋戦争の敗戦のことを思い出す季節になっているらしい。 八月は滅びの季節、夏の暑さで体力を消耗した老人や病人の多くが死んでゆく。 僕の父親も、八月に死んだ。 八月は、死者を思う季節。 そうして、太平洋戦争の敗戦…

埋葬の感慨・かなしみとときめきの文化人類学4

1 人類の「世界の終わり=死」に対する親しみとしての「かなし」の感慨は氷河期の北ヨーロッパで暮らしていたネアンデルタール人のところで極まった、といってもいいように思えます。 氷河期の北ヨーロッパなんて、原始人が暮らしてゆけるようなところでは…

人類拡散・かなしみとときめきの文化人類学3

1 人間は、きらきら輝いているものが好きだ。 そうやって心が華やいでいれば、生きるにせよ死んでゆくにせよ、なんとかなる。人間にとって、衣食住よりもそのことの方がずっと大事です。衣食住=経済が大事などという理屈は現代の先進国のもので、人類の歴…

喪失感と華やぎ・かなしみとときめきの文化人類学2

1 人は、「世界の終わり」から生きはじめる。 実の世界と虚の世界、虚実の皮膜などともいう。焚き火の火を眺めていると、心は虚の世界に浸され和んでゆく。虚=死の世界と親密になってゆくことが、原初以来の人類の生きる作法だったのであり、それが日本列…

世界の終わり・かなしみとときめきの文化人類学1

1 僕は、原発反対でも賛成でもありません。その善悪を判断する能力を持っていません。まあ「判断留保」ということでしょうか、それはもう「仕方がないことかなあ」と思ったりします。人間はすでに原発をつくることをおぼえてしまったし、歴史は後戻りできな…

幸せ自慢・ここだけの女性論33(終わり)

1 現在のインテリの女たちが書く女性論は、現代社会における一般的な女の幸せを追求しているだけで、女とはどういう存在なのかという視線が決定的に欠落している。女とは何かということなら、普通のやらせ女のほうがずっと多くのことを教えてくれる。 女と…

ああ結婚・ここだけの女性論32

1 ある人が、こういっています。 「結婚することそれ自体に意義がある、男と女としてときめき合うことなどは二義的な問題にすぎない」、と。その人によれば、他者とは本質において不快な存在であり、その不快な他者と一緒に暮らす受難に耐えることが人間を…

艱難辛苦に憑依する・ここだけの女性論31

1 数年前の大阪で、かなりショッキングな育児放棄(ネグレクト)事件がありました。 小さな子供二人を抱えた若いフーゾク嬢がホストクラブ通いなどで遊び呆けたあげくに子供をマンションの部屋に閉じ込めたままほったらかしにして死なせてしまう、という事…

消えてゆく・ここだけの女性論30

1 女は最初、男に体を触られることを恥ずかしがったり嫌がったりする。ほんらいは触られたがっている存在ではないのでしょう。 触られたくないのに、触られて感じてしまう。感じてしまうから、触られたくない。おそらく、触られたくないからこそ感じてしま…

真空状態・ここだけの女性論29

1 意識が非日常に向いてしまうというタッチは、そりゃあ大人の女よりも若い娘のほうが豊かにそなえているでしょう。 世間ずれした大人の女だって、好きな男の前で思わずはにかんだりすれば、そのときだけは意識が非日常の世界に入り込んでいる。 非日常の世…

嫉妬に狂う・ここだけの女性論28

1 「自己愛性パーソナリティ障害」という心理学の用語がある。戦後の日本人はもう、誰もが自己愛性パーソナリティ障害を負ってしまっているのでしょうか。 「お得な人生」を歩みたいというのは、ひとつの自己愛でしょう。戦後社会はそういうスローガンで流…

男を飼いならす・ここだけの女性論27

1 女が漂わせているそれぞれの気配というのがあって、男はそれを無意識のうちに感じ取っている。それが通俗的な気配であるのなら、いくら顔かたちがよくてもだんだんしらけてくる。 日本人はことに、日常を厭う傾向がある。それが「憂き世」ということであ…

やらせ女はくるおしい・ここだけの女性論26

1 「やらせ女」とはなんなのでしょうね。 いろんなタイプのやらせ女がいて、いちがいにただ知能程度が低くだらしないだけともいえない。そういう女もいるかもしれないが、それなりに知的で感性的なやらせ女だっている。 まあフーゾク嬢は一種のやらせ女かも…

抱きしめ合う・ここだけの女性論25

1 女にとってセックスをすることは、ひとつの悲劇的な体験なのでしょう。 だから、はにかんだりいやがったりしてしまう。 別にしたいわけでもないのに、ついやらせてあげてしまう。やらせてあげたくなってしまう。やられたくなってしまう。 やりたがってい…