2007-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「まれびと」信仰と現代社会

なおもしつこく「まれびと」という言葉(概念)にこだわってゆきます。 僕はべつに「歴史おたく」ではないし、国文学や民俗学の愛好者でもない。ただ、現代のこの社会で暮らす者のひとりとして、知らない他者との出会いにおいて「祝福し合う」という心の動き…

「まれびと」という言葉(概念)についてしつこく考えてみる

前々回、男性器をあらわす「まら」というやまとことばについて考えてみました。 では、「まれびと」の「まれ」は、どういう体感(心の動き)から発語されていたのだろう。 似たような音韻だが、とりあえず「ら」と「れ」の違いはある。 「ま」は、「間」です…

「村上春樹にご用心」だってさ・3

内田樹氏の「村上春樹にご用心」は、ごもっともなことがちゃんと書かれてある。たしかに村上春樹の小説は偉大だし、世界に通用する普遍性をそなえているのでしょう。そういうことがよくわかるように書かれてある。 しかし、そういう「ごもっともなこと」しか…

卑猥な話題になることをご容赦ください。 「まれびと」という言葉は、折口信夫によって提出された民俗学のキーワードです。 彼は、古代の文献に現れた「客神(まらふど)」という記述に、古代人の心性を見出した。 「まらふど」が変化して「まれびと」になっ…

「さようなら」の身体感覚

ただの言葉遊びです。 知識の不足や論理の破綻やくだくだしさは、ご容赦のほどを。 日本語の「さようなら」は、世界でいちばん美しい別れの言葉だと言われたりしています。 いかにも、別れのはかなさやせつなさがよく滲み出ている響きです。つまり日本人は、…

アンチ「私家版・ユダヤ文化論」・26

前回、「私家版・ユダヤ文化論」の中で言葉の起源に触れている部分を取り上げましたが、そのあとに次のような記述が付け加えられています。 ____________________ それと同じように、「ユダヤ人」という概念はその人を指して「おまえはユ…

アンチ「私家版・ユダヤ文化論」・25

ユダヤ人のこととはあまり関係ないのだけれど。「私家版・ユダヤ文化論」の中に次のような記述があり、それに関連して「言葉の起源」のことをちょっと考えてみました。 _______________________ 「創世記」でアダムが「あらゆる野の獣…

アンチ「私家版・ユダヤ文化論」・24

共同体で暮らすわれわれにとって「父」は、「神」であると同時に「悪魔」でもある存在です。 「父」は、「神ではない」と認識されるとき、「悪魔である」と認識されている。 「悪魔ではない」と認識されるとき、けっこう「神」のように尊敬されたりする。 「…

アンチ「私家版・ユダヤ文化論」・23

もともと人類の社会に「父」などという存在はいなかった。母子関係だけがあった。 あるとき、その関係に「父」を挿入した。 チンパンジーは、こんなことをしないでしょう。たぶん、1000万年くらいたいして変わりばえのしない社会形態でやってきている。 …

アンチ「私家版・ユダヤ文化論」・22

「父」とは、共同体の制度性を象徴する存在であると同時に、「知性(知識)の上昇」を象徴する存在でもある。上昇してゆく知性(知識)が、共同体の制度性にたどり着く。 「父」は、共同体から遣わされた存在として、息子たちを「知性(知識)の上昇」へとみ…

アンチ「私家版・ユダヤ文化論」・21

タイトルを元に戻しました。あと3回か4回、やっぱりこれでいきます。 ユダヤ人迫害は、単純に「いじめ」の問題だとも言い切れない側面がある。それは、いじめであって、いじめではない。差別であって、差別ではない。みずからを神に選ばれた民として他の民…

ユダヤ文化論の現代性・2

だいたい、頭の悪いやつほどお勉強ができる。文明の発達なんて、頭の悪いやつらにリードされて実現してきたのかもしれない。僕は、はっとするような知性のひらめきを、そういう人たちから感じたことはあまりない。高度な知性を持った者たちは、むやみに知識…

ユダヤ文化論の現代性・1

アンチ「私家版・ユダヤ文化論」の続きですが、最終コーナーに差しかかって、ちょいと気分転換にタイトルを変えてみました。 内田樹氏の「私家版・ユダヤ文化論」は、ユダヤ人の「知性」を止揚する物語として書かれています。 そして僕はいま、知性の最終的…

アンチ「私家版・ユダヤ文化論」・18

ナチス政権下で悲劇を演じてしまったドイツ人を、われわれは責めることができるのだろうか。 僕は、反ユダヤ主義を告発することも、ユダヤ人をとくべつ知性的だと持ち上げることも、どちらも納得しきれない思いがある。 20世紀に入ってからのドイツでは、…

アンチ「私家版・ユダヤ文化論」・17

ユダヤ人は、たしかに何千年にもわたってひどい迫害を受けつづけてきた人たちです。 しかし迫害してしまう者たちもまた、悲劇を演じさせられている当事者であったのではないでしょうか。 僕はその行為や思考を、「私家版・ユダヤ文化論」の著者である内田樹…

アンチ「私家版・ユダヤ文化論」・16

さらに引き続いてユダヤ人のメソポタミア時代のことを考えます。 「私家版・ユダヤ文化論」の著者である内田樹氏は「そういうことは想像もおよばない」といってすませているが、われわれは頑張ってこだわってみたい。 現在、考古学で発見されている世界で最…

アンチ「私家版・ユダヤ文化論」・15

まず、前回書いたことのおさらいをしておきます。 現在、考古学で発見されている世界で最も古い都市は、9000年前の新石器時代のもので、トルコ中部の平原を流れる川の岸辺にあり、そこは、ユダヤ人の祖先が住んでいたメソポタミア平原の北西部とは目と鼻…

アンチ「私家版・ユダヤ文化論」・14

「私家版・ユダヤ文化論」の著者である内田樹氏は、最後の章で、「ユダヤ人はとくべつな民族で非ユダヤ人とはほとんど逆向きの思考習慣を持っている」と力説し、こう締めくくっています。 ____________________ どうしてこのような文明…

アンチ「私家版・ユダヤ文化論」・13

「私家版・ユダヤ文化論」の著者である内田樹氏は、「端的に人間的であることを目指すのは、諸国民のうちただユダヤ人だけである」と言っています。ほんとうにすべてのユダヤ人が「人間的であろうとする」存在であるのかどうかよくわからないが、そんなもの…

アンチ「私家版・ユダヤ文化論」・12

反ユダヤ主義者のユダヤ人に対する殺意は、彼らが「あまりに激しくユダヤ人を欲望しているから」生まれてくる・・・・・・と「私家版。ユダヤ文化論」の著者である内田樹氏は語っています。 つまり、もっともっと愛そうとして、それが抑えきれない殺意に変わってい…

アンチ「私家版・ユダヤ文化論」・11

子供にとっては、「父」も「母」も存在しない。親のがわの「私が父(母)である」という自覚が存在するだけだ・・・・・・と、前回に書きました。 このことを象徴的に語る歴史のエピソードを、あるブログで見つけました。 考えるきっかけを与えてくれたこのブログ…

アンチ「私家版・ユダヤ文化論」・10

前回の続きです。 「人類の原初の群れは父が支配する社会だった」とか「父殺しこそ人間の根源的な罪責性である」とか、そういうヨーロッパ人のドメスティックな物語や思想を普遍化して語ろうなんて、まったくいやらしい男根主義です。いやらしい男のナルシズ…