2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

やまとことばと原始言語 21・ことばは「共有」する機能である

もっとも深く思考している人間とは、もっとも深く嘆いている人間である。 思考の深さは、知能指数の高さよって決定されるのではない。 天才なんて、俗物ばかりだ。 人は何によって生きてあるのか、と彼らに聞けば、 プラトンは、人間であることやこの社会の…

やまとことばと原始言語 20・生きてあることの切実さ

ことばは、世界を分節する機能ではない。この世界をアナログな類推関係として思考してゆくところから生まれてきた。 「あなた」と「わたし」を分節するためにそれらのことばが生まれてきたのではない。「あなた」と「わたし」が分節されてあることくらい、は…

やまとことばと原始言語 19・文節表現とアナログな類推思考

「言祝(ことほ)ぐ」=「寿(ことほ)ぐ」の「こと」は、「コトン」「コトリ」の「こと」、こぼれでること。「ほぐ」は「ほぐれる」の「ほぐ」、癒されること、心が自由になって浮き立つこと。「ことほぐ」とは、癒される心や浮き立つ心がこぼれ出ること。 …

やまとことばと原始言語 18・人間は群れたがる生き物か

人と人の関係は、何か「共有」しているものがなければ成り立たない。 同じ国に住んでいるとか、同じ会社の社員であるとか、同じ男であるとか同じ女であるとか、同じ大人であるとか同じ若者だとか、同じ家族だとか、同じ趣味だとか、何か共有するものがあって…

進化論の問題をちょいと

<承前> 意識は、身体が生きたことの結果として発生する。したがって意識の根源においては、生きようとする意志とか衝動というようなものはない。 生きようとしていないのだから、「いかに生きるべきか」という問題もありえない。 人間は、生きるために生き…

閑話休題・「いかに生きるべきか」という問題の嘘

まあ社会的な地位とか経済力はともかく、人間であることの資質において、内田先生から「だからおまえはだめなんだ」といわれるようなスキは見せたくないという気持ちが正直いってどこかにあります。 身体能力のこととか、思考力とか想像力とか、そんなような…

やまとことばと原始言語 17・ネット社会の別れ

一年前、<ゆかの「やまとことば」>というブログを書かれている女性と、このページで何度かコメントを交換したことがあった。年齢も身分もわからない。ただ、やまとことばの教養の深く豊かな人だということしか知らない。 そのブログは、繊細な語り口で、し…

閑話休題・内田先生は女にもてるのか

内田樹先生は、「女は何を欲望するか?」という著書の中で、「この世の中の男と女の<性秩序>は絶好調に機能している」といっておられる。 だから、内田先生のその本も含めて、女性論とかそういう類の本があいも変らず次々に生産されているのだとか。 そう…

やまとことばと原始言語 16・「もがり」

<承前> 内田樹先生は、「人類の葬送儀礼は<死者との対話>としてはじまった。これが人間性の基礎である」といっておられる。 死者に、いかに生きるべきか、と問うんだってさ。 しかし死者は、すでに生きることをやめてしまった人たちだから、「いかに生き…

やまとことばと原始言語 15・「手向(たむ)け」

僕がこのページで山姥さんというやまとことばの専門家であるらしい人と出会ったのは、3、4年前、ネアンデルタールの問題ににからめながら「ことばの起源」について書いたのがきっかけだった。 山姥さんでも、ことばの起源については考えあぐねるところがあ…

やまとことばと原始言語 14・ネアンデルタールのおしゃべり

赤ん坊がお母さんの動きを真似する。お母さんが笑えば笑うし、手を叩けば手を叩く。これが「学ぶ」ということのもっとも根源的なかたちだと、まあ一般的にはいわれている。 そうかもしれない。 で、このことを内田樹先生は、こう説明してくれる。 _____…

閑話休題・「学ぶ」こと

内田樹先生の「下流志向」によれば、現在の子供や若者たちは「自分らしさ」という幻想に取り付かれて「学ぶ」ことをしなくなったからニートやフリーターや派遣社員といった「下流」に押し込められなければならないのだそうな。お前らが下流なのはそれだけお…

「文化」とは、その集団によって共有されている生きるための作法、というようなことだろうか。 日本人の文化もあれば、人類という集団の文化もある。 4万年前の氷河期において、アフリカにはホモ・サピエンスといわれている人類が生息し、ヨーロッパにはネ…

「エクリチュール」という。意味は、「文体」の本質を表す批評の概念、といったところだろうか。 誰もが、それぞれの社会的階層にしたがってことばや言いまわしを選択している、ということらしい。知識人には知識人の「文体=エクリチュール」があり、庶民に…

1<セクシーな男の話> 去年の東京国際映画祭でグランプリをとった「ソフィアの夜明け」というブルガリアの映画が渋谷のイメージフォーラムで単館上映されているというので再見してきた。 主人公は、なげやりな暮らしをしながらも心の底ではけんめいに何か…

1<献身的であるということ> あるお金持ちのもとに、貧しいものがお金を借りに来た。お金持ちは、その懇願に満足そうにうなずき、お金を貸してやった。 これは、人類学的にいう「贈与」の態度には当たるだろうが、ここでいう「献身」とは別のものだ。 「献…