2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

孤独と集団性・ネアンデルタール人論238

1 「氷河期の北ヨーロッパのネアンデルタール人は体力だけでその苛酷な寒さに耐えていた」だなんて、集団的置換説の学者たちはどうしてそんな愚劣なことをいいたがるのだろう。イギリスのストリンガーをはじめ、世界的な権威といわれる学者たちがそういって…

生きられない・ネアンデルタール人論237

文明人は、生きてあることというか、生きてある自分に執着して、自分=観念が生き延びる先の「天国」や「極楽浄土」や「生まれ変わり」といった概念を生み出してきた。それはまあ人類が、「万物の霊長」として、地球上の生態系の頂点に立ったからだろうか。…

体ごと反応するということ・ネアンデルタール人論236

大人になると「体ごと反応する」ということができなくなってくる。 「最近の歌は歌詞がよく聞き取れない」などと大人たちはいう。それは、歌詞の「意味」をとらえようとする意識ばかりが先行して、「音」そのものを聞こうとする態度があいまいになってしまっ…

どうでもいい・ネアンデルタール人論235

1 承前 人類の歴史は、生き延びるため、すなわちこの生に意味や価値を見出しこの生に執着してゆくことによってつくられてきたのではない。人間性の本質は、そういう生き延びるためのシステムとしての政治・経済の問題にあるのではない。 現代社会においては…

無意味なばかばかしさこそが希望になる・ネアンデルタール人論234

1 承前 ピコ太郎は、世界中の子供や若者たちの圧倒的な支持を受けた。子供や若者は、今どきの平和で豊かな社会の大人たちが抱え込んでいるこの生やこの生活の「意味」や「価値」に執着した「ゆるーい幸せ」なんかに興味はない。 ピコ太郎は、「非生活者」で…

「PPAP」はおもしろいか・ネアンデルタール人論233

承前 「ピコ太郎」が世界中にネット配信しているお笑いパフォーマンス芸は、「この生の裂け目」を表現している。 なんだか知れないけど面白い……彼は、そうやって「この生の裂け目」を切り開いてみせてくれた。そうしてその向こうにこの生の外の「非日常」の…

この生の裂け目に気づく文化・ネアンデルタール人論232

1 70年前の敗戦後日本の復興のエネルギーになったのは、スポーツや芸能等の「娯楽」産業の盛り上がりにあった。そのころの日本人は、衣食住そっちのけで「娯楽」を欲しがった。まあ日本列島の歴史風土にはそういう「お祭り好き」の伝統があるし、人間なん…

喪失感を抱きすくめる・ネアンデルタール人論231

人という生きものは、感動して泣く。 嬉しかろうとかなしかろうと、とにかく感極まって泣く。 男よりも女のほうがよく泣く。ときめくとか感動するという心の動きは、女のほうが豊かにそなえている。心が「非日常」の世界に超出してゆく能力、と言い換えても…

途方に暮れる心の健全というのがある

1 死んでゆくことは、未来を喪失することであり、「今ここ」に「消えてゆく」ことだ。人が死を意識して死に対する親密な感慨を持っている存在であるということは、そのような「喪失感」を抱きすくめながら「消えてゆく」心地を汲み上げてゆくことに快楽を覚…