2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

今どきの無常観・神道と天皇(152)

1 原始人は、「宇宙」というものなど知らなかった。星や月だって、地球の天井で光っているものだという風にしか考えていなかっただろう。それは、「未来」という時間に対する意識も希薄だったことを意味する。彼らは、あくまで「今ここ」と向き合いながら生…

情の社会、情の政治・神道と天皇(151)

1 最近は政治スキャンダルが次から次に噴き出してきているが、特徴的なのは、総理大臣以下の当事者たちがまるで反省することなく、言い訳けやしらを切って居直ることばかりを繰り返してしていることにある。 日本列島にはみそぎをすれば許されるという伝統…

民衆は洗脳されない、民衆が権力者を洗脳する・神道と天皇(150)

1 高級官僚の仕事だろうと下層の庶民のとるに足らない仕事だろうと、ひとまず公の仕事は文明国家のルールの上に成り立っている。しかし民衆社会のプライベートな人付き合いはまた別の関係性がはたらいており、そこでは社会的なルールよりも人情の機微が優先…

時代に踊らされる・神道と天皇(149)

1 秋葉原通り魔事件が起きたとき、知識人をはじめとする多くの大人たちからは、これからは若者が凶悪化してくるだろうといわれたが、現実は逆に「草食」化していった。彼らの多くは、社会にも人にも恨みなんかない。人生に希望がないということは、社会や人…

芋虫の性欲と神性・神道と天皇(148)

1 「原初、女は太陽であった」と誰かがいった。日本列島の精神風土の伝統は「処女性」としての「女性原理」にあり、そこから「天皇」が生まれてきた。 戦前回帰志向の今どきの右翼は「大和魂」とか「ますらをぶり」というようなことをさかんに言い立てるが…

処女を祀り上げる・神道と天皇(147)

1 人は「きらきら光るもの」が好きだ。このことは、人類史のもっとも大きな問題のひとつではないだろうか。 人類は原初以来、「きらきら光るもの」に魅せられながら歴史を歩んできた。その「輝き」は、どこからともあらわれて、どこかしらに向かって消えて…

国家なんか知らない・神道と天皇(146)

1 このシリーズは神道と天皇の起源について考えることがテーマなのだが、隔靴掻痒というか、何か枝葉のことばかりつついているような気がしないでもない。 結論はもう、とっくに出ている。しかし、古代以前の日本列島に宗教なんかなかったとか、起源として…

しょうがない・神道と天皇(145)

1 日本列島が「あいまい」の文化であることの本質は、ものごとを善悪や正邪で裁かない、ということにある。 すべてのことは割り切れない、割り切れないと割り切ってゆくのが、日本列島の思考の流儀だ。それが「しょうがない」ということ。 国家制度や宗教は…

近代精神という自縄自縛・神道と天皇(144)

1 先日亡くなられた西部邁氏に対しては、多くの右翼・保守思想家から「惜しむ声」が寄せられ、再評価の動きにもなっているのかもしれないが、僕としては、この人の仕事は「伝統=トラディション」という言葉を口癖にしていても、中身はちょっと気取った酒場…

「あいまい」の伝統・神道と天皇(143)

1 どんな生きものだろうと、生きられなさを生きようとするところでこそ生のいとなみが活性化する。 この生を超えてゆくことがこの生になる。生きることよりも「神聖なもの」はもっと大事だ。生きることなんか忘れて「神聖なもの」にわが身を捧げてゆく……鳥…