2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧
1 ここで書いていることはどちらかというと天皇を擁護するものかもしれないが、ふだんの僕は、べつにとくべつ天皇に親密な感情を持っているのではない。 ただ、天皇が奈良盆地の支配者として登場してきたという通説はどうしても納得できない。天皇の起源を…
1 縄文人にとって森は親密な対象だった。 しかしここでいいたいのは、森を有効活用していたとか、そういうことではなく、森に対する純粋なあこがれがあったということだ。 男たちは、森を歩きまわって旅をしていた。 彼らにとって森は「清浄」な場所だった…
1 氷河期の日本列島は大陸と繋がっていて、日本海は湖だった。そして広い平原があり、ゾウやシカやウマやウシなどの大型草食獣がたくさんいた。 そのころの日本列島は、石器の先進地域だった。それは、それほどたくさんの狩りの対象となる草食獣がいたとい…
1 日本列島の住民の「歴史の無意識」を探ろうとするなら、仏教ではなく、原始神道を問うしかない。 そして、ひとまず神道の日本列島とキリスト教の西洋という分類ができるとすれば、それは、「なりゆき」の文化と「神の秩序」の文化との対比でもあるのだろ…
1 人にときめく心があれば生きていられる。これが人間性の基本であろうと思える。 人の素晴らしさをほめたたえることは、人を裁くことの裏返しでもある。神という概念を持ってしまった人類は、そういう人を裁く心の動きも同時に持ってしまった。 あなたは良…
1 古代では猫のことを「ねこま」といったのだととか。 で、その語源は、「ネズミの子を待ち構えて捕まえるから」とか、「寝てばかりいるから」などと解釈されている。 民衆のあいだの言い伝えではない。契沖とか賀茂真淵のような江戸時代の一流の学者がこの…
1 一部の右翼組織による在日韓国人に対するヘイトスピーチ(憎悪発言)やデモが問題になっているらしい。 「日本人として恥ずかしい」と多くの人がいう。 こんなことが起きてきた原因はたぶんいろいろあって、一概にはいえない。現在は右翼政権だということ…
1 霊魂=たましい=スピリチュアル。 この「霊魂」という言葉のいかがわしさは、ずっと気になっている。 しかし、近ごろの終末医療(ターミナルケア)では、霊魂を信じることが患者に安らぎをもたらすといわれているらしく、積極的にその概念を止揚してゆこ…
1 天皇制の二重構造というのがある。それが問題をややこしくしている。 一般的に「二重構造」というと、たとえば武家と天皇側近の公家が権力所有の綱引きしてきたとか、そのように権力の二重構造として語られているのだが、ここではそういうことを問題にし…
1 呪術は縄文時代からあったとか、原始神道は呪術だったとか、そんなふうに考えている歴史家は多い。 では、神道のもっとも大切な行為のひとつである「穢れ」をそそいで「清める」ということは「呪術」であるといえるか。 「清める」とは「祀り上げる」行為…
1 10数万年前のネアンデルタールのころ、人類が「埋葬」という行為をはじめたのは「霊魂」という概念を発見したからだという説もあるが、おそらくそういうことではない。 ただもう、どうしようもなく悲しかったからだろう。人類は歴史とともにだんだん深…
1 天皇を神に仕立てて天皇に寄生してゆく。権力者のこの天皇に対する馴れ馴れしさはいったいなんなのかと思う。 また、国歌とか国旗を敬えと、どうして押し付けてくるのだろう。江戸時代までは、国歌も国旗もなかったではないか。それは、日本列島の伝統で…
1 この国の天皇は、その発生以来2千年、つねに権力者に食い物にされてきたが、ともあれ一度も倒されたことがなかった。それは、世界にも例がないことだ。 世の中にこんなにもめでたい存在もないのかもしれない……という感想は外国人だって抱くらしい。何度…
1 起源としての天皇は、巫女集団の中から選ばれた舞のカリスマの少女だった。おそらくこの少女は「きみ」と呼ばれていた。 それが古墳時代になって大和朝廷ができてきたころには、「きみ」の母親である「おほきみ」が天皇に仕立てられていった。「おほきみ…
1 天皇は、この世界のすべてを赦している存在である。 天皇は、本質的に「権力」ではない。したがって天皇崇拝を叫ぶ権力者は、本質的に天皇とは異質な人種である。 べつにそうした権力者でなくても、人が権力を志向することは天皇を否定しているのと同義な…
1 弥生時代の奈良盆地では、みんなして天皇という祀り上げる対象を共有してゆくことによって、集団が安定し、活性化していた。 しかしそれは、誰もが自分たちの集団を肯定し止揚していたというのではない。集団賛歌として天皇が生まれてきたのではない。 集…