2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

抱きしめた感触・ネアンデルタール人論・100

1 ネアンデルタール人の祖先が氷河期の北ヨーロッパに移住していったのが50万年前のことで、そのときはまだ屈強な体をしていたわけでもなんでもなく、アフリカに住むホモ・サピエンスの祖先と遺伝子的にはほとんど変わりがなかった。 それでもその極寒の…

穢れと聖性・ネアンデルタール人論99

1 人類の歴史は、世界中のどこでも「生贄」という習俗を持っているらしい。 かつてのインカ帝国やマヤ帝国では罪人の生首を神に捧げていたとか、そんな伝説は、この国の歴史においてもいくらでもある。橋をつくるときに人柱を埋めたとか、そういう習俗が実…

人類を生き残らせたもの・ネアンデルタール人論98

1 前回の記事の最後に、僕自身の願いとして、「<生きられないこの世のもっとも弱いもの>の生贄になりたい」と書いた。 現実にはそんな素敵な生き方や死に方ができるほどの身でもないが、願いとしては、まあそういうことだ。 それはたぶん、僕の個人的な願…

異論と反論・ネアンデルタール人論・97

1 もちろんここでの現在のテーマは「ネアンデルタール人論」ではあるが、ネアンデルタール人のことだけを論じているのではない。基本的な問いは「人間とは何か?」ということであり、そのための「ネアンデルタール人論」です。 というわけで、ここまで書い…

不満の構造・ネアンデルタール人論96

1 たとえば5万年前のヨーロッパのネアンデルタール人とアフリカのホモ・サピエンスのどちらが生き残ることのできる生態を豊かにそなえていたかという問題は、今どきの人類学者が考えているような、どちらの知能が発達していたかということではない。 それ…

献身というサービス・ネアンデルタール人論95

伊勢の事件のことは、よく知りもしないくせに書くべきではなかった。 じつは、あの現場は僕が生まれ育った町のすぐ近くで、何度も行ったことのある場所です。 だから、つい余計な思い入れを込めて書いてしまった。 ただ、これだけは言えそうな気がします。思…