2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

祝福論(やまとことばの語源)・「かわいい」37・鬱の時代

五木寛之氏は、「鬱の時代」が到来した、とさかんにいっておられる。 21世紀における人類最大の問題のひとつなのだとか。 この地球上の誰もが人生に対する答えを見失ってその不安から逃れられなくなっている時代である、と外国の人たちもいっている。 とす…

祝福論(やまとことばの語源)・「かわいい」36・捨て身

内田樹先生ほど、自分をよく見せる手練手管を心得ている人もいないのかもしれない。 だから、人気がある。 人間なんて、誰もが自分よく見せたがっている存在なのだ。 上手に自分をよく見せて、なおかつ自分をよく見せようとすることが人間の真実であるかのよ…

祝福論(やまとことばの語源)・「かわいい」35・へうけ=ひょうけ

大人の女は、若い娘がむやみに「かわいい」を連発することに少々批判的であるらしい。 何か向上心がないことや、感性がステレオタイプであるかのような印象があるのだとか。 しかしそれは、ちょっとちがう。向上心があっても、感性が豊かな娘でも、「かわい…

祝福論(やまとことばの語源)・「かわいい」34・消えてゆく

心が何かに追いつめられているから、「かわいい」というときめきを体験することができる。 それは、みずからの存在を消してしまおうとする衝動の上に成り立っている。 現在のこの国の自殺率の高さと、ギャルたちの「かわいい」とときめいている現象は、けっ…

祝福論(やまとことばの語源)・「かわいい」33・追いつめられる

現在のこの国は、先進国の中でもことに自殺率が高いのだとか。 内田樹先生は、この問題に関して、こんなことをいっておられる。 食うものも着るものも住むところもないというような「絶対的貧困」には手を差し伸べる必要があるが、ただほかの人よりは貧しい…

祝福論(やまとことばの語源)・「かわいい」32・森ガール

みんな、いずれは死んでゆく。それが、人間に与えられた現実だ。人間の現実なんかひどいだけだ。そのことから上手に逃げ出すことができなければ誰も生きてゆけない。そのことから上手に逃げ出すことができて、はじめて生きてゆける。 「命の大切さ」とか「生…

祝福論(やまとことばの語源)「かわいい」31・日本辺境論だってさ

文体がどうのといっても、口先だけで人をたらしこんでいるだけじゃないか。そういう人間に、いっぱしの人格者ぶったきれいごとを並べられると、ほんとにうんざりする。 そういうかっこつけたもの言いに、ころりとだまされる人間がたくさんいる。 社会=共同…

祝福論(やまとことばの語源)・「かわいい」30・けりをつける

「けりをつける」という心の動きは、日本列島の歴史の水脈である。 さっぱりと忘れてしまうこと、終わってしまうこと、消えてしまうこと。 「けりをつける」とは、「楽になる」ということ。 「楽になりたい」という願いが人間を生かしている。 人間は、勝手…

祝福論(やまとことばの語源)・「かわいい」29・いたたまれない

われわれは、どこかでこの生にけりをつけて死んでゆかねばならない。 「けりをつける」というトレーニングは、しておいたほうがよい。 「生き延びる」技術や意欲ばかりで生きていたらあとで痛い目にあうし、その今を生きる姿そのものが醜悪になってしまう。 …

祝福論(やまとことばの語源)・「かわいい」28・はにかむ

ゴルフ選手の石川遼君は、「はにかみ王子」という愛称を与えられて、現在のゴルフ人気を支えている。 そのはにかむ表情が「かわいい」と、みんながいう。 「はにかむ」ということばは、今なお有効であるらしい。 それはちょっと意外であるが、同時にとうぜん…

祝福論(やまとことばの語源)・「かわいい」27・おそれ

「自分はここにいてはいけないのではないか」という思いは誰もがどこかしらに抱えている……といえば、ほとんどの女がうなずくに違いない。 男は、半分くらいだろうか。そしてその半分も、そう深くうなずいているわけではない。 男は、そういう思いを胸の底に…

祝福論(やまとことばの語源)・「かわいい」26・「おに」3・やつ

スピッツの草野正宗君のことばを借りれば、かわいいものとは「にせもののかけら」のことだ。 少女漫画の主人公は、現代の代表的な「かわいいもの」のひとつかもしれない。 「秘密のあっこちゃん」から「キューティ・ハニー」まで、その系譜は、「変身する」…

無題

ある人に伝えたいことばがあります。 もう手遅れで届かないのかもしれないけれど、ここに記しておきます。 ・・・・・・・・・・・・・・・ 僕はいま、あなたのことをやまとことばの師だと思っているのではありません。 語源に対する考察なら、もう僕のほう…

祝福論(やまとことばの語源)・「かわいい」25・「おに」2

古代の神は、「存在」するのではなく、「出現」する対象だった。 日本列島の住民は、「出現」するものにときめく。 「出現」するものを、「かわいい」という。 「出現」するものを「鬼(おに)」という。 鬼は、実在するものではなく、われわれのイメージ空…

祝福論(やまとことばの語源)・「かわいい」24・「おに」1

近ごろの若者は、「おに=鬼」ということばを、形容詞を強調する機能として使う。 「おに美味い」とか「おに早い」とか。 「ものすごい」というような意味らしい。 そしてギャルが「きもかわいい」などともいう。 「ちょいと気持ちわるい感じがかえってかわ…

祝福論(やまとことばの語源)・「かわいい」23・自分の居場所

朝青龍は、どうしてあんなに、いつもいつもモンゴルに帰りたがるのだろうか。 モンゴルこそが彼のいるべき場所で、日本では「自分はここにいてはいけないのではないか」という思いから逃れられなかったのだろう。 その思いに耐えられないことが、彼のハング…

祝福論(やまとことばの語源)・「かわいい」22・くだらな

快楽とは、自己処罰のことだ。 人間が自己処罰しようとする生きものであるのは、意識の根源において「自分はここにいてはいけないのではないか」という思いが疼いているからだ。 これは、大問題だ。原初の人類は、「自分はここにいてはいけないのではないか…

祝福論(やまとことばの語源)・「かわいい」21・くはし3

古代人が「くはし」といった感慨は、一般的にいわれている「こまやか」というようなことじゃない。 「くはし」という音声がこぼれ出るカタルシスがあったのだ。そしてそれは、もっと単純で具体的な体験であると同時に、もっと深く豊かな感慨や意味がこめられている…

祝福論(やまとことばの語源)・「かわいい」20・くはし2

日本列島の「どうせ」ということばのニュアンスは、外国人にはきっとわかりにくいだろう。 それは、皮肉でも絶望でも怒りでもない。 この世界を希望のないかたちで受け入れつつ、つまり「自分はここにいてはいけないのではないか」という思いを共有しつつ、…

祝福論(やまとことばの語源)・「かわいい」19・くはし1

生きものが生きてあることは、ひとつの自傷行為である。 そういい切ったところから考えはじめたほうがいいように思える。 生きるとは、身体を消費するという、ひとつの自傷行為だ。 そして、人間ほどダイナミックに自傷行為を繰り返している生きものもほかに…