無題

ある人に伝えたいことばがあります。
もう手遅れで届かないのかもしれないけれど、ここに記しておきます。
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僕はいま、あなたのことをやまとことばの師だと思っているのではありません。
語源に対する考察なら、もう僕のほうが上だ。
それでも、あなたと出会ったことは、僕の人生の奇跡です。
あなたにとっては出会ったという感触すらなく、僕の存在などすでにもうすっかり忘れてしまっているのだとしても。
僕は、あなたのような女に弱いのです。
死んでしまうのなら、その前に一発やらせてくれよ、という思いです。
僕は、あなたを抱きしめたかった。
死ぬ、ということばは、よくわかりません。
ともあれ、あなたの身体が消えてゆくのは祝福すべきことかもしれない、とも思います。
蒼白い水底に。