2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

セックスアピール(その二)・ネアンデルタール人論142

1 人類が一年中発情している存在になったということは、他者に対してより豊かにセックスアピールを感じる存在になっていったということを意味する。 身体生理が変わったということは「結果」の問題であって、「原因」ではない。「原因」は、そういうメンタ…

セックスアピール(その一)・ネアンデルタール人論141

1 セックスアピールとは何か? いざ考えてみると、よくわからない。 セックスアピールの本質はどこにあるのか? よくわからないが、大いに興味をそそられる問題だ。 二本の足で立ち上がって猿よりも弱い猿になってしまった人類は、つまり生き延び能力を失っ…

なれなれしさは性衝動を衰弱させる・ネアンデルタール人論140

1 ただなれなれしくじゃれ合っているというだけでは、男と女の関係が順調に機能しているともいえない。 ネアンデルタール人がフリーセックスの社会をつくっていたからといっても、男と女がそんな関係になっていたわけでもあるまい。 性衝動は、なれなれしく…

絶好調になんか生きられない・ネアンデルタール人論139

1 内田樹氏は、『女は何を欲望するか?』という著書の中で、上野千鶴子氏のフェミニズムを批判しつつ「そんなことをいっても、現在の男と女の関係は絶好調に機能している」と語っている。 ほんとにそうだろうか? このころの彼は再婚を控えて有頂天になって…

隠されてあるもの・ネアンデルタール人論138

1 死は、この生の向こうに隠されてある。 そして生きた心地としてのこの生のカタルシス(浄化作用)もまた、この生の向こうの「非日常」の世界に隠されてある。 人間的な知性や感性とは、隠されてあるものに気づくこと。知性や感性とは「気づく」ことであっ…

「みそぎ」の作法・ネアンデルタール人論137

1 人類がはじめた「埋葬」という行為は、死体を土の下に埋めて一件落着、ということではない。土の下に埋めた死者のことをよりいっそうの親密な感慨で想うという体験が生まれてきたから、それが習俗として定着していったのだ。 古事記のイザナギという神は…

人が人を想うこと・ネアンデルタール人論136

1 この国のネアンデルタール人学の権威は赤澤威という東大出の教授だそうで、その研究テーマとして「ネアンデルタール人の心に迫る」というようなことをさかんにおっしゃっておられるのだが、しかしそれに関してなら、このブログの半分も考えることができて…

別れのかなしみ・ネアンデルタール人論135

1 原初の人類が二本の足で立ち上がったのは生き延びる能力を喪失する体験だったのであり、ネアンデルタール人の祖先が50万年前に原始人が生きられるはずもない氷河期の北ヨーロッパに移住していったことにしても、生き延びる能力を喪失した状態で生きるい…

正義なんかいらない、官能性の問題だ・ネアンデルタール人論134

1 べつに生きたくて生きているわけではない。気がついたらすでに生きてしまっているだけのこと。意識=心は、生きてあることの上に発生する。したがって、意識=心が「生きようとする衝動=欲望」としてはたらくことは論理的にありえない。すでに手に入れて…

人は正常位でセックスをする・ネアンデルタール人論133

人の男と女がセックスをするということは、たんなる「肉欲」という言葉だけでは片づけられないし、知的で観念的だともいえない 人の男と女は、正面から向き合って抱きしめ合う。こんな体位はほかの動物はとらないが、それはもう、原初の人類が二本の足で立ち…

やらせてあげる・ネアンデルタール人論132

1 ネアンデルタール人だろうとクロマニヨン人だろうと、氷河期の北ヨーロッパを生きる彼らの生は苛酷だった。彼らは、あえぎあえぎして生きていた。それでも50万年のあいだを生き残ってくることができたのは、その生きられなさを克服する生態=文化を持っ…

彼らは、あえぎあえぎして生きていた・ネアンデルタール人論131

集団的置換説の代表的な論者であるC・ストリンガーの『ネアンデルタール人とは誰か(朝日選書)』という本では、「ネアンデルタール人は知力よりも体力や体質でその寒冷気候に適応していた」と繰り返し語っているのだが、人の体力や体質だけで氷河期の北ヨ…

世界は輝いているか・ネアンデルタール人論130

1 人は、生きられなさを生きようとする本能(のようなもの)を持っている。それによって人類の文化が進化発展してきた。生きられなさの中で生き延びようとするのではない。生きられなさそれ自体に生きてあることのカタルシス(浄化作用)がある。生き延びよ…

「かなしみ」という解放・ネアンデルタール人論129

1 ヴィンセント・ギャロの『バッファロー66』という映画の主人公は、ラスト近くで進退窮まったように「もう生きられない」とつぶやいて泣き崩れるのだが、そこから心が華やぎ、つまりどうしようもなく愚かなひねくれ者にすぎなかった主人公が愛とか世界の…