2014-01-01から1年間の記事一覧

真空状態・ここだけの女性論29

1 意識が非日常に向いてしまうというタッチは、そりゃあ大人の女よりも若い娘のほうが豊かにそなえているでしょう。 世間ずれした大人の女だって、好きな男の前で思わずはにかんだりすれば、そのときだけは意識が非日常の世界に入り込んでいる。 非日常の世…

嫉妬に狂う・ここだけの女性論28

1 「自己愛性パーソナリティ障害」という心理学の用語がある。戦後の日本人はもう、誰もが自己愛性パーソナリティ障害を負ってしまっているのでしょうか。 「お得な人生」を歩みたいというのは、ひとつの自己愛でしょう。戦後社会はそういうスローガンで流…

男を飼いならす・ここだけの女性論27

1 女が漂わせているそれぞれの気配というのがあって、男はそれを無意識のうちに感じ取っている。それが通俗的な気配であるのなら、いくら顔かたちがよくてもだんだんしらけてくる。 日本人はことに、日常を厭う傾向がある。それが「憂き世」ということであ…

やらせ女はくるおしい・ここだけの女性論26

1 「やらせ女」とはなんなのでしょうね。 いろんなタイプのやらせ女がいて、いちがいにただ知能程度が低くだらしないだけともいえない。そういう女もいるかもしれないが、それなりに知的で感性的なやらせ女だっている。 まあフーゾク嬢は一種のやらせ女かも…

抱きしめ合う・ここだけの女性論25

1 女にとってセックスをすることは、ひとつの悲劇的な体験なのでしょう。 だから、はにかんだりいやがったりしてしまう。 別にしたいわけでもないのに、ついやらせてあげてしまう。やらせてあげたくなってしまう。やられたくなってしまう。 やりたがってい…

ややこしい・ここだけの女性論24

1 人間は観念でセックスをする存在である、といった心理学者がいます。 何をくだらないことをいってるんだか。 しかし、こういう考え方は、現代社会そのものの病理でもあるのですよね。 いい女になればいい男をつかまえることができる。いい男をつかまえる…

不倫の風景・ここだけの女性論23

1 セックスのときの男は、女のあとを追跡している。 いちおう男は、女をよろこばせもだえさせるのが男のセックスの甲斐性だと思っているのだが、それ自体女のあとを追いかけている証拠なのですよね。そうやって女を支配しているつもりでも、ほんとうは女の…

ありえない・ここだけの女性論22

1 たとえフーゾク嬢が相手であろうと、日本人のセックスはすべてが「情交」であって、たんなる「性交」ではない。 心が通い合っているというのではないが、たがいに非社会的で非日常的な気分になっている。「憂き世」という気分を共有している。 おたがいが…

やりまくる・ここだけの女性論21

1 現在は男と女のセックスの関係が不調になってきているともいわれています。それが「結婚したがらない」とか「少子化」という問題につながっているらしい。 で、とりあえずセックスの問題を書いてみようと思うのだけれど、べつにそのことの社会的な意義と…

女の時代・ここだけの女性論20

1 いったい、戦後という時代はなんだったのか。 「女が元気になった」とか「いい女が増えた」などといっても、男からしたら、おまえら勝手にそうやっていい気になっていろ、という話です。女どうしでそうやって自己満足に浸っているだけかもしれない。 男は…

男を置き去りにする・ここだけの女性論19

1 日本列島では、どうしようもなく男が女に引き寄せられてしまう関係性の文化風土あるのですね。そしてそれは、女が女の本性として非日常の世界に入り込んで、自分から男に寄っていったり男を引き寄せようとする欲望を持っていないということの上に成り立っ…

解き放たれる・ここだけの女性論18

1 石川啄木の歌です。 ■放たれし女のごとく 妻の振舞う日 庭のダリアを見る 「放たれし女」とは、心が「非日常」の世界に入ってしまっている、ということでしょう。 そんなとき男はもう、なんだか置き去りにされた気分で庭のダリアを眺めているしかない。 …

非日常のお祭り・ここだけの女性論17

1 女は「非日常」的な存在です。 この世界に対しても男に対してもみずからの生に対しても、どこかしらではぐれてしまっている。そこに女のかなしみがあるのでしょうか。 今どきはちょっと違うとしても、もともとはそういう存在なのだろうと思えます。 男が…

挫折感を慰撫する・ここだけの女性論16

1 「癒し」とか「萌え」とか「おもてなし」という言葉が流行ることの深層には、女が男の世話をするというこの国の伝統的な習俗がはたらいているように思えます。 女が男の世話をするからといって、男に従属しているわけではない。男の世話をするということ…

死んでもいい・ここだけの女性論15

1 なんのかのといっても、歴史的に、日本列島の女は死の問題を解決している存在だった。死と和解している存在だった。 そこにおいて、男をリードしていた。人間が生きのびようとしてあれこれ生産活動や政治活動に励んでいるからといって、いちばんの大問題…

男の世話をする・ここだけの女性論14

1 たとえば、一人暮らしの男の部屋に行って掃除をしてあげるとか、そういう「女の細やかなやさしさ」とやらを示す方法をあれこれ伝授している女性論もあります。 やさしさなんですかね。ただの点数稼ぎじゃないですか。もてない女ほどそういうことをまめに…

おしゃれのセンス・ここだけの女性論13

最初の女性論のテーマに戻ります。 1 ひところブームになった『女性の品格』という本は、ひとまず女としての品のあるたしなみのようなものを書いているのだろうが、しかしあの著者の女性は、どうしてあんなにも着るもののセンスがダサいのでしょうね。あん…

女の世界・源氏物語の男と女11(終わり)

1 生きてあることのかなしみやいたたまれなさは、直立二足歩行の開始以来の人間であることの与件です。この生はそうした「嘆き」にまとわりつかれてある。日本人は、そうした「嘆き」や「まとわりつかれている」ということにことのほか敏感な民族です。何か…

ラグジュアリーな世界・源氏物語の男と女10

1 とりあえずここでは、源氏物語を通じて、平安時代の宮廷の人々は死の問題をどのようにとらえていたかということについて考えてきました。 おそらく、現代社会そのものが、あのころの貴族社会のような様相を呈している。 この国の戦後社会も、人々の暮らし…

女のカウンターカルチャー・源氏物語の男と女9

1 貴族の男たちによる「雨夜の品定め」という女性談義から啓発を受けたらしい光源氏はそれを実行に移してゆくが、次々に挫折してゆく。 たぐいまれな美貌の貴公子が、なぜ挫折し続けなければならないのか。 女とは本質において男を拒否している生き物である…

浮舟・源氏物語の男と女8

1 日本人は「もののあはれ」という言葉が大好きです。 しかし、誰もこれをうまく説明できない。小林秀雄や本居宣長の説明だって、どこか核心に届いていないもどかしさが残ってしまう。 「源氏物語論」の吉本隆明にいたっては、完全にこの言葉を避けている。…

宇治十帖・源氏物語の男と女7

1 平安時代の宮廷の女たちの心は、深く「もののけ」の気配に追いつめらていた。彼女らは、そこから解き放たれてゆく心の作法として「もののあはれ」という美意識をはぐくんでいった。そしてそれは、人の心の根源的なはたらきでもあり、そうやって原初の人類…

女を追いかける・源氏物語の男と女6

1 源氏物語は、吉本隆明がいうような「光源氏の近親相姦願望の物語」とか「自然との調和と和解の物語」でもない。 吉本の個人的な観念世界に押し込めてそのように決め付けているだけのこと。 また、源氏物語はすでに近代文学のレベルに達しているといっても…

もののあはれ・源氏物語の男と女5

1 源氏物語の世界だけでなく、普遍的に女は「もののけ」を意識している存在であるのでしょう。 「もの」とは「まとわりつく」というニュアンスの言葉です。女にとってはもう、生きてあるというそのことが、まとわりついてくる鬱陶しい「もの」になっている…

もののけ・源氏物語の男と女4

1 源氏物語の女たちはもう、男も世の中も何より自分が生きてあるということそれ自体を拒否するように衰弱していった。 それはたぶん、世界中の女の普遍的な無意識であるはずです。 しかし、なぜそんなにもかんたんに心と体が連動するようにして衰弱してゆか…

雨夜の品定め・源氏物語の男と女3

1 雨の夜の退屈まぎれに貴族の男たちが集まって女談義をする。物語のはじまりのこの場面で作者は、最上層の貴族の女よりもその下の階層の女、すなわち「中の品」の女がいちばんだとある男に語らせています。そういう女のほうが、貴族のただおっとりしている…

男を拒絶する・源氏物語の男と女2

メールのページがうまく開けなくなってしまいました。 とりあえず、ここのコメント欄に返信を書かせていただきます。ごめんなさい。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 源氏物語に登場してくる…

色好み・源氏物語の男と女1

1 ここでいう「女のかなしみ」とは、女の心はどこかしらで生きてあることからはぐれてしまっているということで、ナルシズムとかセンチメンタルとか、そういうニュアンスではないつもりです。まあ、男にとっては、女の心の謎の部分のことです。もしかしたら…

女のかなしみ・ここだけの女性論12

1 「かなしみ」という言葉は、とても気になります。 女は、男よりも深く「かなしみ」を知っている。 かなしみとは何かということが、男にはよくわからない。知っているつもりの男も少なからずいるらしいが、僕にはわからない。 女の心は、どこかで男を置き…

女は出家する・ここだけの女性論11

1 日本列島の男と女の関係の歴史は、世のフェミニストたちがいうほど女にとって不幸な歴史だったとは思えません。むしろその歴史は、女の感性に引きずられながら流れてきたのではないのかというようなかたちを持っています。「あはれ」とか「はかなし」とか…