貨幣の本質とMMT

1 安富歩氏の言説には、もうひとつ疑問がある。 彼は、れいわ新選組から立候補するときの記者会見の席で、「むかしの中国では、銅銭を造っても造ってもどんどん市場から消えてしまい、造らないとときには民衆の暴動が起きるほどだった」と語っていた。 この…

祭りの賑わい

1 僕は、インテリの頭脳だけが優秀だとは思っていない。どんな高級インテリだろうと、その思考の限界というのはある。 たとえ東大教授だろうと、知ったかぶりして偉そうなことをいわれても、その思考の浅さにほんとにむかつくときがある。 しかしどんなに気…

EUと移民反対

1 『日本国紀』という本がバカ売れしているらしい。じつは僕もさっそく買って読んでみたのだが、歴史の教科書やウィキペディアに書いてあることを並べているだけだし、しかもその歴史的事実に対する著者の解釈もまったく愚劣で幼稚で陳腐で、どうしてこんな…

感想・2019年2月4日

<ハイブリッドの栄光> 1 大坂なおみが全豪オープンで優勝した。 すごいことだ。去年の今頃は世界ランク70位くらいだったのに、ここにきてメジャータイトルを連覇して世界一位に上りつめた。 もちろんこの国では大フィーバーだが、一部では、彼女はジャ…

感想・2018年12月30日

<処女と従軍慰安婦> 今、電子書籍にするために「女性論」を書いています。 主題は、女の中の処女性、そしてそれは日本文化の伝統の問題でもある。 「処女」とは、処女を守ろうとする存在であるのではない。処女にとってセックスは死にも等しいような体験な…

感想・2018年12月27日

<世界は輝いている> 毎年のことながら、べつにいい一年でもなかった。 あと2・3日のうちに新しい電子書籍を3冊まとめて出そうと思っています。 題材は、「女性論」と「文化人類学的なこと」と「日々の雑感」、です。 やっぱり僕の資質では、タイムリー…

感想・2018年12月23日

東条英機は悪だったのか……? 道徳的にいいか悪いかということ以前に、敗戦国としてはもう、その裁きは潔く受け入れるしかなかった。それが日本列島の伝統的な精神風土でしょう。 歴史修正主義といういじましさ、意地汚さ。裁かれたら、言い訳なんかしないで…

感想・2018年12月19日

<女の中の処女性> 今、新しい電子書籍を三冊出そうと、あれこれ推敲したり書き足したりしているのだけれど、この作業がなかなか進まず、いつのまにかブログの更新のことも忘れてしまっていました。 なんでもやりっぱなしの性分だから、こういう腰を据えた…

感想・2018年11月21日

<戦後の女神たち・はた迷惑な世代> 人の心は、「喪失感」を抱きすくめながら華やぎときめいてゆく。それが大震災のときの「吊り橋効果」だったのだろうし、震災直後はひとまず誰もがそのような気分になっていった。それを、なぜすぐに打ち消し忘れてしまう…

感想・2018年10月15日

さまざまな伝統回帰 敗戦後のこの国は、団塊世代の親たちが「喪失感」を共有しながら復興のダイナミズムを生み出していったが、それゆえにこそ、団塊世代はついに「喪失感」とは無縁のまま大人になっていった。 敗戦後と大震災後の社会情況の違いは、「喪失…

感想2018年11月11日

この生のかたち 「さよならだけが人生だ」という名文句を吐いたのは、井伏鱒二だっただろうか。 その通りだと思う。 700万年前の原初の人類が二本の足で立ち上がったことは、猿としての生と決別する体験だった。ひとまず猿として死んだ、と言い換えてもよ…

感想2018年11月6日・ひどい世の中

現在のこの国がどうなっているのかということを考えたとき、多くの人が暗澹とした気持ちになる。妙な右翼思想がのさばっている政治の世界だけでなく、民衆社会の人と人の関係もなんだかいびつになってしまっている。 逃げ出したいような世の中ではないか。 …

感想・2018年11月1日

<戦後の女神たち・敗者の場所> 女は損だ、と女は言う。その社会的地位が満たされていないということ以前に、たとえば思春期以降はずっと毎月のさわりと付き合っていかねばならないわけで、その鬱陶しさだけでもう存在そのものの敗北感を味わわされている。…

感想2018年10月29日

<戦後の女神たち・大阪の宿> 近ごろはYouTubeというインターネットの便利なサイトがあって、昔の映画がいくらでも見ることができ、それによって戦後の世相の移り変わりを再検証することができる。個人的には、自分の若かりし頃の60年代から70年代頃の…

感想・2018年10月26日

<戦後の女神たち7> 大震災であれ、あの太平洋戦争のひどい敗戦であれ、あってはならない不幸というよりも避けがたい運命だったわけで、その「世界の終わり」の「喪失感」を抱きすくめて生きはじめるのがわれわれ日本人の伝統だったはずなのだが、戦後の歴…

感想・2018年10月23日

<祭りの賑わい> 1960年代のポップミュージックの主流はフォークソングにあった。それが70年代以降は、松任谷由実やオフコースをはじめとするシティポップに移っていった。 しかし現在のポップミュージックシーンの先頭を走っているのは星野源や米津…

感想・2018年10月22日

<ときめき合う関係を組織する> 僕だって、人間というのは愚劣な生き物だなあ、とつくづく思う。しかしどこが愚劣なのかと考えれば、それはあくまで表層的なことで、本質的な部分においては美しいも愚劣もなく、ただもう「人間とはいったいどういう生き物だ…

感想・2018年10月16日

<時代は変わるか?> 先日書きはじめた戦後史に対する感想を書き継ぎたいのだが、その前に沖縄知事選挙に対する総括をどうつければいいのかと、いまだにぐずぐず考えている。 やはりこの結果を時代が変わりつつあることのあらわれだと思いたいのが、はたし…

感想・2018年10月12日

<ネトウヨと沖縄の霊性・3> 1 今回の沖縄県知事選挙序盤は、自公政権が主導する候補のほうが圧倒的に有利だった。間違いなく獲得できる組織的な基礎票がすでに30万票以上にあったし、それに対するオール沖縄陣営はもたつきが目立ち完全に出遅れていた。…

感想・2018年10月8日

<ネトウヨ……沖縄の霊性・2> 人生は計画通りには進まない。僕のように行き当たりばったりで生きている人間は、なおのことです。 今回のこのブログでネトウヨの人から長文のコメントをもらい、ひとまず返信したのだが、これがとんでもないメンヘラというの…

感想・2018年10月5日

<沖縄の霊性> 1 沖縄はもともと琉球王国であり、日本列島とは別の国家共同体だったが、江戸時代のはじめに薩摩から侵略され、その植民地となった。 沖縄諸島の位置は、中国大陸からも九州からも、ほぼ等距離にある。 ただ、江戸時代はじめにおいては、日…

閑話休題・沖縄知事選挙のこと

1 僕は、この選挙を最初からずっと注目していて、玉城デニー氏の街頭演説はYOUTUBEで欠かさず見てきた。なぜブログに書かなかったかというと、僕の見方はあまりにも希望的な観測で、実体からは遠いのかもしれないと思ったからだ。 この選挙がはじま…

感想・2018年9月30日

<戦後の女神たち・6> 阪神淡路大震災や東日本大震災の直後にはあれほどみんなで助け合おうという気持ちが盛り上がったのに,今どきの「ヘイトスピーチ」とか「セクハラ・パワハラ」とか「ストーカー」とか「クレーマー」とか「ストーカー」とか「非婚化」…

感想・2018年9月28日

<戦後の女神たち・5> 70年前の敗戦後の社会情況と数年前の東日本大震災後のそれとどこが違うかといえば、「終末感=解放感」だろうか。 敗戦後は「これでもうすべてが終わった」という「喪失感」をまるごと抱きすくめていったが、大震災後は、どこかし…

感想・2018年9月26日

<戦後の女神たち・4> 『三丁目の夕日』という映画がおもしろいのかつまらないのかよくわからないが、とにかくあれは戦後復興の歩みのポジティブな側面を称揚している映画であり、あんなにも貧しかったのに人々の心は華やぎ、人と人の豊かに助け合う関係が…

感想・2018年9月24日

<戦後の女神たち・3> 敗戦後のこの国は、今どきの右翼がいうように人心が荒廃していたわけではない。たいした暴動が起きることもなく、着実に復興に向けて歩みはじめていた。廃墟と化した東京には、どんどん人が集まってきた。だからまあ、「パンパン」と…

感想・2018年9月21日

早速電子書籍を買っていただいた人、どなたかわかりませんが、どうもありがとうございました。<戦後の女神たち・2> ともあれ団塊世代は、敗戦直後の困窮が極まっている時代に続々と生まれ出てきたのだ。困窮しているうえに、敗戦による精神的なダメージも…

感想・2018年9月20日

<自己紹介> キンドルから電子書籍を出しました。ただいま5日間の無料キャンペーン中です。よかったら検索してみてください。 僕はもともと小説の挿絵を描いていたのですが、絵を描くのがいやでいやでしょうがなかった。ますますいやになっていって、絵よ…

感想・2018年9月18日

<何を書くか> まあ、やっとこさで電子書籍を出したのだけれど、何しろ僕が書くものは、マンガや小説と違って、とても市場が狭い。そこがなやましいところです。 やっぱり、できるだけたくさんの人に読んで欲しい。 べつに、自己満足だけで書いているわけで…

感想・2018年9月16日

<宣伝です> やっと、「キンドル」から電子書籍を出版しました。 『試論・ネアンデルタール人はほんとうに滅んだのか』 『初音ミクの日本文化論』 それぞれ上巻・下巻と前編・後編の計4冊で、一冊の分量が原稿用紙250枚から300枚くらいです。 このブ…