出アフリカ……アウト・オブ・アフリカ。欧米人は、旧約聖書にモーゼの奇蹟としてこういう話が出てくるから、この言葉がことのほかお気に入りらしい。
しかし、3万年前のアフリカ人がヨーロッパに移住していったなんて、そんなことがあるはずないじゃないか。
そのころ人類は、すでにユーラシア大陸のほとんど全域に拡散していた。そうしてすべての集落が、まわりの集落と女の交換をしていた。そうすれば、ひとつの有利な遺伝子は、集落から集落へと手渡されながら、世界の端から端まで伝播してゆくことになる。
べつにアフリカのホモ・サピエンスが世界中に旅して住み着いていったのではない。
3万年前にヨーロッパに移住していったアフリカ人などひとりもいない。
ろくな文明を持たない原始人が、女子供を連れた大集団を組織して見知らぬ土地の道なき道を旅してゆくなどというマンガみたいなことがあるはずないじゃないか。まったく、おまえらアホか、と言いたくなってしまう。
3万年前の原始人だってすでにわれわれと同じレベルの知能を持っていた。それでも彼らを生かしているのは、知能ではなく、あくまでその土地に住み着いてきた歴史と文化なのだ。そこのところを考えることのできない低脳なやつらが、「出アフリカ」などという安直なおとぎ話を当たり前のように信じてしまっている。
人間は、住み着こうとする生き物だ。どんな住みにくい土地でもけんめいに住み着こうとするから世界中に拡散していった。そこから知能や文明というものが進化してきた。知能などというものはそういう「結果」であって、文明を進化させる「原因=契機」になっているのではない。
住み着こうとしたから拡散したのだ。人類の地球拡散は、そういう逆説の上に成り立っているのであって、「出アフリカ」などという安直なおとぎ話の上に成り立っているのではない。
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そのころヨーロッパでは、ネアンデルタールが集落どうしで女(=血)の交換をしていただけである。それでも、集落どうしで女(=血)の交換をしていれば、ひとつの有利な遺伝子は、いつかヨーロッパ中に伝播してしまう。
氷河期になれば、ヨーロッパではネアンデルタールの遺伝子を持った個体でなければ生き残れない。
しかし温暖期になれば、長生きできるホモ・サピエンスの遺伝子のキャリアの個体ばかりになってゆく。そういうことが、5〜3万年前のヨーロッパで起こった。ヨーロッパのネアンデルタールは、ホモ・サピエンスの遺伝子が混じった赤ん坊が生まれても育て上げることができた。もともと寒冷気候に強いネアンデルタールの基礎体力があるから、冬を越すことができた。
何度でも言う。そのときヨーロッパでアフリカのホモ・サピエンスとヨーロッパのネアンデルタールがセックスをしたという事実など一切ないのだ。そのころネアンデルタールの形質をした人類はアフリカ北部まで拡散しており、そこで拾ったホモ・サピエンスの遺伝子が集落から集落へと手渡されながらヨーロッパ中に広まっていっただけのこと。そしてその北アフリカにいたネアンデルタールの形質した人々だって、ずっと昔からその地に住み着いていた人々であり、氷河期だからそのあたりでもネアンデルタールの遺伝子を持っていないと生き残れない状況だったために、その遺伝子がヨーロッパから伝播してきていただけのこと。ネアンデルタールの形質をしていても彼らは、まぎれもなく土着の北アフリカ人だったのだ。
人間が旅していったのではない。遺伝子が集落から集落へと旅していっただけのこと。
そしてホモ・サピエンスネオテニーの遺伝子は、長生きはできるがそれほどにひ弱な形質にしてしまう遺伝子でもあったということだ。
たとえ温暖期でも、アフリカの外に出て生き残ることのできるホモ・サピエンスなどひとりもいなかった。現代においてそれが可能になっているのは、現代文明によるからだ。現代文明は、ひ弱だが長生きできるネオテニーの形質の個体が生き残ることを可能にしている。
日本人の母親は、欧米の母親に比べるとかまい過ぎるくらいかまって育てる。それは、日本人の子供の方がずっとネオテニーの性格が濃くひ弱だからだろう。だから、不可避的に母親がかまい過ぎる文化を持つほかなかった。
その点ネアンデルタールの子孫である欧米の子供は、放っておいても育つ体力を持っているらしい。
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温暖期は、13〜7万年前にもあった。しかしこのときヨーロッパでは、ホモ・サピエンスの遺伝子の混じった赤ん坊は冬を越すことができなかった。子育ての文化がまだそこまで進化していなかったからだ。だからこのころは、ヨーロッパまでホモ・サピエンスの遺伝子が伝播してくることはなかった。
しかし比較的冬が穏やかな西アジアでは育てることができたから、このころの西アジアネアンデルタールホモ・サピエンスの形質が混じっている。つまりこのころ、ネアンデルタールホモ・サピエンスの遺伝子のキャリアになっても生き残ることのできる北限は西アジアまでだったということだ。生きのころることができるのなら、長生きできるホモ・サピエンスの遺伝子のキャリアばかりになってしまう。
西アジアから発掘されるこのころの人類の骨がホモ・サピエンスの形質が濃いとしても、べつにアフリカからやってきた人々ではもちろんない。いつだって、西アジアには西アジア人が住んでいただけのこと。
このことを人類学者たちは、西アジアの先住民などいなくて北のヨーロッパと南のアフリカでこの地の取り合いをしていたようなことを言う。温暖期はアフリカ人が占拠して、氷河期にはヨーロッパのネアンデルタールがやってきて追い払った、と。
こんなことを、プロフェッショナルの研究者が大真面目で信じ込んでいるのである。まったく、アホばっかりじゃないか、としか言いようがないではないか。おまえらの考えることなんか、小中学生のレベルなんだよ。西アジアには、200万年前からその地に住み着いてきた人々がいたに決まっているじゃないか。おまえら、人間をなんだと思っているのか。われわれは、おまえらのその薄っぺらなおとぎ話を信じ込むほど低脳でも人間不信でもない。
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ネオテニーであるということは、それほどひ弱だということである。人類はそれを、文明によって補っている。
だから、いまさら歴史を後戻りすることはできない。だから原子力も、やめるのではなく、全知全能を傾けて克服してゆくしかないのだ。それが、人間であることの宿命である。
同じネアンデルタールの形質の人類といっても、乳幼児の寒さに対する耐久力は、きっと西アジア北ヨーロッパではずいぶん差があったことだろう。それぞれそこに住み着いてきた歴史の違いがある。
5〜3万年前に氷河期の寒さが一時的に少し緩んだとき、人々がホモ・サピエンスの遺伝子のキャリアになっていったのは、西アジアよりも北ヨーロッパの方が少し早かったらしい。それは、ヨーロッパのネアンデルタールの方が寒さに対する耐久力があったからだろう。
ネアンデルタールの基礎体力があれば、ひ弱なホモ・サピエンスの遺伝子のキャリアになっても、温暖期の冬くらいはなんとか潜り抜けることができた。ヨーロッパには、そういう基礎体力と文明の進化があった。これがそのころのヨーロッパを覆い尽くしていったクロマニヨンといわれる人々だったのであって、彼らはべつにアフリカからやってきた純粋ホモ・サピエンスだったのではない。
クロマニヨンの骨の遺伝子を調べても、アフリカの純粋ホモ・サピエンスの個体など一つも出てこないだろう。
5〜3万年前のヨーロッパでヨーロッパ人とアフリカ人がセックスして子を産んだという例など一つもないのだ。
混血しているからセックス(交配)していたと決めつけるなんて、ションベンくさいガキの考えることだ。
ネアンデルタールが集落どうしで女を交換しながらクロマニヨンに変わっていっただけなのだ。
100万年前から1万年3千年前の氷河期明けまで、ヨーロッパにはヨーロッパ人がいただけなのだ。それが、原始人の歴史なのだ。
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