閑話休題

こういうときに、僕はどういう反応をすればいいのだろう。
何も書かないで更新をストップしてしまうのがいちばんけんめいで正しい態度かもしれない。
しかし僕はあれこれ煩悩を抱えているから、どうやら更新を中断できないらしい。
じゃあ、何を書けばいいのか。
正直に言えば、何ごともなかったような顔をしてこれまでの続きを書きたいという気持ちもあるのだが、それがはばかられる気持ちにもなる。
僕は、当事者ではないのだ。当事者のような顔はできない。
こんなときに内田樹先生のような外部のものが、この国を背負っているような顔をして、心構えとかするべきことをあれこれ指図するようなことを自分のブログで書いていたのは、とても不愉快だった。
当事者から当事者でないものまで、みんなそれぞれの感慨があり、それぞれの行動がある。そんなことをいちいちおまえなんぞに指図されたくない。
火事場泥棒をするのも、けんめいに救助活動をするのも、それぞれその人の世界とのかかわり方がある。どうすればいいのか、という問題などない。それぞれその人の心で何かを思い、何かを決断し、何かを行動したりしなかったりしているのだ。
その人が当事者という立場に近づけば近づくほど、その人の心の世界は尊重されなければならない。外野がいちいち指図するな。
大混乱になろうと粛々と助け合おうと、みんながそれぞれの世界でそれぞれの生を生きているのだ。
内田先生が、べつにつまらないことをいっていたのではない。誰もが考えそうなことを内田樹というブランドに乗せて内田流に書いているだけのことだ。だから、多くの人がが賛意を表している。受けることをちゃんと計算してそんなことをいっているのだ。
つまりさ、人気取りのためにおまえこそそういう抜けがけの火事場泥棒みたいなことをしているんだぞ、ということだ。こういうときに外野からいい子ちゃんぶったことをいってくるやつがいると、ほんとにむかつく。当事者の人たちは泣きわめいたりおろおろしたりしているというのに。
けっきょく、先生はすばらしい良識を備えた立派な人だ、といわれたいだけのことじゃないか。そういうスケベ根性が見え見えの書きざまである。
いや、そうじゃない、心からのメッセージとしてそういったのだといっても、あれくらいのことは誰でも思いつくし、そんな差し出がましい書きざまをすること自体をつつしんでいる人はいっぱいいるのである。
ここはひとつ民主党を信頼するしかない、ということくらい、おまえに言われなくてもたいていの人がそう思っているさ。言った者勝ちだ、てか?。
いい子ちゃんぶって目立とうとしているだけじゃないか。
そんな心構えなんぞは、彼らが彼ら自身の心の世界において決めることだ。火事場泥棒をしようと粛々と助け合おうと、彼らが決めることであり、おまえなんぞが指図するな。
いいかえれば、おまえていどの人に対するやさしさなんか誰でも持っているし、そういう立場に立てば、おまえなんかよりももっとやさしい心を芽生えさせているのだ。
なぜなら、彼らは、「今ここ」をけんめいに生きているからだ。明日の日本がどうなるかとか、そんな発想は、今のところない。当事者のレベルから遠くなればなるほど、そんなスケベったらしい発想になってゆく。
だから僕は、そんなスケベったらしい第三者のひとりとして、このまま「直立二足歩行の起源」の記事を今ここで書いていいのかどうか、迷っている。
僕は、ただの第三者だ。
僕に考えることができるのは、人間とは何かということだけであって、どうすればいいかということなんかわからない。日本を背負っているわけでもないし。
僕は日本にぶら下がって生きているだけで、それ以上のことをする能力もないから、もう黙って見守っているしかない。当事者でもないくせに、そのことばかり気にしてむやみに被害妄想になってカップラーメンを買いだめしたり、自分だけ安全な立場にいて怖いもの見たさになったり、そういうこともいかがなものかと思ってしまう。
テレビは、どんどんエスカレートしてパニック映画まがいのショッキングな映像を垂れ流してくる。あんなのをこれ見よがしに見せ付けられると、こちらはもう粛々と「直立二足歩行の起源」を書き継いでいこうかとも思えてくる。 
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わかりやすいタイトルだけど、いちおう現在の若者論であり、日本人論として書きました。
社会学的なデータを集めて分析した評論とかコラムというわけではありません。
自分なりの思考の軌跡をつづった、いわば感想文です。
よかったら。

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