雑感・女のことはよくわからない

よくわからないのに書こうとするのは、僕が男だからです。
女ってどういう生きものだろう、とたいていの男が思っている。わかったようなことをいっても、どこかしらにそういう疑問というか戸惑いを抱えている。
自分の手に負える女だけを基準にして、女とはこういうものだ、といわれてもねえ、そんな知ったかぶりを信じるわけにはいかない。
僕なんか、この世に自分の手に負える女なんか、ひとりもいない。過去にさかのぼっても、ひとりもいなかった。
女だって、男とはこういう生きものだという前提をすでにしっかり持っていて、それで男を取り扱っている女というのは、若かろうとおばあさんだろうと家庭の主婦だろうと僕は苦手だ。
酒場のマダムにも、こういうタイプの女がよくいる。僕はそれほどたくさん知っているわけでもないが、しかしこういうタイプの女は、男に対する好奇心があまりないのだろうと思う。女のことがわかっているつもりの男だって、まあそういうことだろう。
どんな女にもすぐ気安く話しかけて、すぐデートに誘う男がときどきいる。そして、俺は女好きだから、という。そうだろうか。こういう男は、女と仲良くすることことが好きなのであって、女そのものが好きかどうかはわからない。女に対するおそれがないということは、女をなめているか、興味がないかのどちらかだろう。
女と仲良くしたりたらしこんだりする能力は、男の自尊心を満足させる。ようするに、自分に興味があるだけなのだ。
そしてこういう男がもし女だったら酒場のマダムにぴったりかというと、あんがいそうでもない。酒場のマダムは、少し素人っぽいくらいのほうがその店は繁盛する。
どんな男にもすぐ色目を使うかわい子ぶりっ子の女が、そのまま酒場のマダムになれるかというと、そんなものでもない。ホステスにはいいだろうが、マダムにはなれない。
酒場のマダムは、すれた愛嬌よりも、ちょっと素人っぽい心意気を持っているほうがさまになる。それが、マダムの色気になる。ホステスは自分の身の上話で男の気を引くが、マダムは、男の愚痴や悩みを本気になって聞いてやる心意気を持っている。しんそこ本気かどうかは知らないが、若いホステスよりは男をなめていないし、男に対する好奇心を持っている。
魅力的なマダムは、ホステスや家庭の主婦よりも、ずっと男に対してアマチュアな部分を持っている。それは、男もいろいろだということをよく知っているからか、生きてあることはしんどいことだという切実な思いがあるからか、それともたくさんの男を振り捨てて生きたことのうしろめたさか。そのへんのところは僕にはよくわからない。
女に幻想や憧れを抱いているうぶな男も、女をなめているすれた男も、女がわかっているようなことをいう。僕は、どちらのいうことも信じない。
どんな女が好きかと聞かれても、女のことがよくわからないのだから、答えようがない。
しかし、女とはどんな生きものだろうかと、いつもけっこうがんばって考えている。
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わかりやすいタイトルだけど、いちおう現在の若者論であり、日本人論として書きました。
社会学的なデータを集めて分析した評論とかコラムというわけではありません。
自分なりの思考の軌跡をつづった、いわば感想文です。
よかったら。

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